マリナーズ決定・菊池雄星、東京ドームで“デビュー”も 大谷のエンゼルスと今季19戦

スポーツ報知
マリナーズと契約合意し、東京ドームでのメジャーデビューの可能性も出てきた菊池

 西武からポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた菊池雄星投手(27)が1日(日本時間2日)、イチローら多くの日本選手がプレーしたマリナーズと最大で7年総額1億900万ドル(約120億円)の大型契約で合意に達した。保証される期間は4年ながら、3年目の終了時、マ軍側はその後の4年間で6600万ドルの契約を結べるという異例のものだ。花巻東高の後輩、大谷翔平を擁するエンゼルス戦も19試合組まれており、海の向こうで夢の同窓対決が実現する。

 花巻東時代から憧れ続けたメジャーの夢舞台。菊池の移籍先は、日米メディアが本命視したマリナーズに決まった。高校時代に面談を受け、今回も早くから獲得に熱意を示していた親日球団を選んだ。交渉期限だった1月2日午後5時(日本時間3日午前7時)まで残り2日に迫った12月31日。メディカルチェックを受けるため本拠地シアトルに入った。

 菊池はこれまでも日本からの移動距離が比較的短く、温暖で住みやすい日本人コミュニティのある西海岸の球団を中心に吟味していた。12月16日に渡米した際には、「ベストパフォーマンスが出せるようにこだわっていきたい」とも話していた。球場が比較的広く、投手有利のTモバイル・パークを本拠地とするマ軍は、メジャーで勝ち続けたい雄星にとって、最高の環境だ。

 好待遇の契約には代理人のスコット・ボラス氏による粘り強い交渉術が効いたようだ。保証されている4年5600万ドル、年平均1400万ドルは、ポスティングシステムで渡米した日本選手では7年1億5500万ドル、年平均約2200万ドルだったヤンキース・田中将大に次ぐ金額だが、松坂大輔、ダルビッシュが年平均1000万ドル未満だったことを考えれば十分、大型契約といえる。また今オフのFA市場で見ても、昨季10勝して、連続2ケタ勝利を6年と伸ばしたL・リンがレンジャーズと結んだ年平均1000万ドルの3年契約を上回るものだった。

 マ軍は左腕エースのパクストンや、主軸のカノ、クルーズが移籍し、チーム改革を推進中。まだ27歳でこれから全盛期を迎える菊池に、今後のローテの柱になってほしいという期待が込められた契約といえる。

 “メジャーリーガー・雄星”は今春、早くも凱旋する。マ軍は3月20、21日、東京ドームでアスレチックスとの開幕2連戦に臨む。ここでは昨季途中までマ軍でプレーしていた会長付特別補佐・イチローの復帰が決定的。いきなり雄星とイチローとの夢の共演が見られるかもしれない。

 1年早く海を越えた花巻東の3学年後輩・大谷が所属するエンゼルス戦も19試合組まれる。「比較されてきたので、先輩としてのしんどさもある」と苦笑していた雄星だが、勝つためには「打者・大谷」を抑えることが求められる。高校3年の秋、一度は断念したメジャーの舞台。多くの夢とともに、雄星が船出する。

 ◆菊池 雄星(きくち・ゆうせい)1991年6月17日、岩手・盛岡市生まれ。27歳。花巻東高3年時の09年センバツ準優勝、夏4強。同年ドラフト1位で6球団競合の末西武入り。2年目に1軍昇格し4勝、3年目からローテ入り。17年最多勝と最優秀防御率。18年まで2年連続ベストナイン。通算成績は158試合に登板、73勝46敗1セーブ、防御率2.77。16年にNHK BS1「ワールドスポーツMLB」のキャスター・深津瑠美と結婚。184センチ、100キロ。左投左打。西武での18年年俸は2億4000万円。

 ◆シアトル・マリナーズ 1977年の球団数拡張で誕生したア・リーグ西地区の球団。創設から14年連続で負け越し、95年に初の地区優勝。リーグ優勝決定シリーズに3度出場も、ワールドシリーズ進出はない。ポストシーズンは2001年を最後に遠ざかっている。イチロー外野手、佐々木主浩投手、城島健司捕手、岩隈久志投手ら日本人選手がプレー。本拠地は屋根が開閉式の「Tモバイル・パーク(19年1月にセーフコ・フィールドから変更)」。

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