菊池雄星、デビュー戦で最速153キロより目立った“カーショー”譲りのカーブ

スポーツ報知
主な日本人先発投手のオープン戦対大リーグ相手のデビュー戦成績

 【ピオリア(米アリゾナ州)=安藤宏太】マリナーズの菊池雄星投手(27)が25日(日本時間26日)、レッズ戦でオープン戦初登板し“メジャーデビュー”した。2回に味方の2失策が絡み、2回1安打1奪三振、2失点(自責0)。最速は153キロを計測。10年ナ・リーグMVPのJ・ボットからカーブで三振。メジャーではカーブが新たな武器となりそうだ。

 ようやくたどり着いたメジャーのマウンド。雄星は喜びをかみしめた。「楽しかったです。テレビで見た選手だと思いながら楽しく投げることができました」。2回に不運もあって2点を失ったが、堂々たるマウンドだった。

 初回1死。いきなり見せ場は訪れた。打席はメジャー12年間の通算打率3割1分1厘を誇り、MVP受賞経験のある左打者ボット。カウント2―2から選択したのはカーブだった。打者の背中側からストライクゾーン高めに入る緩い球で空振り三振。「もう少し低めにと思っていましたけど」と苦笑いだったが、大きく変化したボールにバットは空を切り「いい所に結果的に行ったかなと思います」とうなずいた。

 雄星の代名詞と言えば速球とスライダー。「僕の中では(変化球で)スライダーが一番と思っている」と絶対の自信を持つ。だが、この日、効果的だったのはカーブだ。計測した最速153キロの直球と球速差が30キロほどある。

 ボットは「とても素晴らしいカーブだった。驚いたね。あのような軌道のカーブを投げる投手はそんなに多くはない。ドジャースの柳賢振やカーショー、あと何人かだろう」と、メジャーNO1左腕の名前などを挙げながら絶賛。バッテリーを組んだ捕手・オマーも「カーブが一番いい」と証言した。

 新たな“武器”とも言えるカーブが有効に使えれば、150キロ超の直球も生きる。メジャー球に順応するうちに、スライダーもキレは増していくはずだ。「初めてにしては納得のいくボールも多かったし、何よりもメジャーのバッターを感じられたところが一番の収穫かなと思います」。すでに1か月を切っている開幕へ手応えを口にした。

 次戦は3月2日(日本時間3日)のロイヤルズ戦。3回50球をめどに投げる予定だ。順調にいけば同21日、東京Dでの開幕2戦目・アスレチックス戦先発が濃厚となる。「積み重ねが少しずつ自分の自信になってくると思うので、今日に関しては、今できる段階で、やれることは出せたかなと思います」。“ニュー雄星”が順調に滑り出した。

 ★雄星に聞く

 ―マウンドから見たメジャーの景色は。

 「まだオープン戦とはいえ、目指していた場所に立てたという充実感はすごくあった」

 ―全球種投げたがどこが良かったか。

 「ストレートですね。変化球の精度というのは、これから上げていく必要があると思ったけど、生命線の直球がいい形でいけたのはホッとしている」

 ―課題は?

 「カーブが抜けたり、スライダーが決めたいときに抜けてしまっていた。細かいところを詰めていければなと思う」

 ―投球テンポが良かった。

 「真後ろ(外野)にせかされる数字(投球間の時間を計測するピッチクロック)があるので(苦笑)。どんなもんかと思いながら、計算しながら投げましたね」

 ―これまでと変えたルーチンは。

 「(イニング間に)ベンチサイドでキャッチボールができないのが大きな変化かな。体を冷やさないように意識しないと」

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