“大谷ルール”新たな二刀流の芽を摘む可能性も

スポーツ報知
2020年 エンゼルスこうなる

 【テンピ(米アリゾナ州)=安藤宏太】エンゼルス・大谷翔平投手(24)が、100年を超すメジャーの歴史を動かした。米大リーグ機構と大リーグ選手会は14日(日本時間15日)、両者の間で合意した新ルールを発表した。20年からは「投手」「野手」に続く第3のカテゴリーとして、二刀流を示す「Two Way Player(ツーウェー選手)」が加わることになった。公式戦に出場できる25人枠は26人に拡大。投手と野手の人数は、各13人に制限されることとなる。“大谷ルール”とも言えるこれらは、一体どんな仕組みなのか。

 今キャンプでは「大谷に続け」とばかりに、各球団で二刀流に挑む選手が相次いだ。しかし今回の“大谷ルール”は、こうした新たな二刀流の芽を摘む側面を持っている。大谷のように投打とも屈指の実力を持っていれば問題ない。投手枠を空けられるなど、プラス面も出てくる。だが、投打の実力に偏りがあると“使い道”が限定されるのだ。

 その例が皮肉にも同僚にいる。エンゼルスではカワート、ウォルシュが二刀流に挑戦。ともに昨季まで野手で、能力的にも野手が主体だ。シーズン中の起用を想定すると、野手中心で使いながら、時には中継ぎも、という形だ。実際、10日のオープン戦でウォルシュはリリーフ登板してから一塁を守り、打席に立った。

 だが来季、彼らを二刀流起用するなら「投手」として登録する必要がある。投手なら打席に立つことはできるが、野手登録だと、延長戦または6点差がつかないとマウンドに上がれないからだ。また、二刀流登録の条件となる「20イニング登板」は、先発なら1か月ほどでクリア可能だが、中継ぎだと2か月近くかかるだろう。延長が無制限のメジャーでは、能力的には「打高投低」の選手でもベンチに入れておくことに一定のメリットがあったが、来季は活躍のチャンスは限られる。新ルールのもとでは、投打で真の実力がない二刀流は淘汰(とうた)されそうだ。(安藤 宏太)

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