イチロー開幕スタメン 伝説レーザーまた見られる…24打席連続無安打も指揮官明言

スポーツ報知
3回無死二塁、田中俊の右飛を捕球したイチローは、三塁へダイレクト送球(カメラ・泉 貫太)

◆プレシーズンゲーム 巨人5―6マリナーズ(18日・東京ドーム)

 イチローの開幕スタメンが決定した。「2019 MGM MLB 開幕戦」(20、21日・東京D)シリーズに臨むマリナーズが巨人と東京Dでプレシーズンゲームを行った。「9番・右翼」で先発出場したイチローは3打数無安打に終わり、連続無安打は24打席に。しかし、3回の守備では代名詞の「レーザービーム」を披露。試合後にはサービス監督が、昨年5月2日以来、日本では2012年以来のメジャー出場となる「開幕スタメン」を明言した。

 伝説を、日本の地で再現した。イチローが45歳とは思えぬ守備で魅了した。3回無死二塁。右翼後方の飛球を捕球すると、三塁へ代名詞のレーザービームを発動させた。ノーバウンドのストライク送球。東京ドームを万雷の拍手が包み込み、「気持ち良かったですね」とうなずき、「あんなチャンスはもうない。機会がないとできないから、よく(自分の所へ)打ってくれました」と振り返った。

 打撃は沈黙が続いたが、サービス監督は「今夜の試合でヒットは打たなかったが、いい守備をしてくれたし、彼は数日後もそこにいる予定だ」と開幕スタメン起用を明言。敵味方問わず見る者を虜(とりこ)にするスターに、最高のギフトが届いた。

 18年の時を経ても色あせない景色だった。米1年目の01年4月11日、相手は今季開幕カードと同じアスレチックス。右前安打を処理したイチローが三塁を狙った一塁走者を刺した送球を、マリナーズ専属のリズ・アナウンサーが「レーザービーム」と表現した。球史に残るあの送球をファンが知っているからこその大歓声でもあった。

 守備で健在を示した一方、この日も快音は響かなかった。3回の第1打席はバットを折られ一ゴロ。今月支配下登録された準硬式出身右腕・坂本工の143キロに詰まらされた。4回1死二、三塁では左腕・戸根の肩口からのスライダーに見逃し三振。7回先頭では桜井に中飛に仕留められた。「すごい(球場の)空気が良かった」とファンに感謝を示しつつ、「ヒット1本、打ちたかったけど、それは残念でしたね」と受け止めた。

 米国のオープン戦から24打席連続無安打。元来スロースターターとはいえ、昨年5月を最後に公式戦から遠ざかっている。ブランクを埋める作業のハードさは想像に難くない。3月1日を最後に安打が出ず、打率は6分5厘と低迷しているが、サービス監督は「彼のために」と20日の開幕戦(対アスレチックス・東京D)の先発起用を約束。結果が出ない中での本番となるが、イチローは「始まってしまう、という感覚は別にないですね。(気持ち?)それは勝手に高まるから」と泰然自若を貫いた。

 マイナー契約で迎えたキャンプインの際、背番号51はこう言った。「誰もやってきていないことを挑戦するということは、僕はいくつか結果として残してきたことでもある」。オープン戦26打席連続無安打を経験した08年も蓋を開ければ213安打をマークした。準決勝まで不振だった09年WBCでは決勝の韓国戦で決勝打を含む4安打を放ち、世界一の使者となった。20日、メジャー19年目の幕が開く。伝説は、きっと、まだ続く。

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