【中日】吉見2193日ぶり完封! 連敗5で止めた 圧巻フロントドアで山田斬り

スポーツ報知
中日・吉見

◆中日3―0ヤクルト(10日・ナゴヤドーム)

 中日の吉見一起投手(33)が2012年8月8日の広島戦(ナゴヤドーム)以来、2193日ぶりの完封勝利を3安打無四球で飾り、チームの連敗を5で止めた。

 無四球および完投勝利は同年9月4日の広島戦(同)以来。完投は16年8月31日の阪神戦(同)以来。両軍無得点の4回2死一、三塁の打席では、今季初安打となる適時打で先制点もマークするなど、吉見のワンマンショーのような試合だった。

 2012年まで5年連続2ケタ勝利を挙げ、エースとして君臨していた当時の輝きを取り戻した吉見が喜びに声を弾ませた。

 (ヒーローインタビュー)

 ―6年ぶり完封。

 「そうですね。まさかできるとは。完封よりも無四球。チームとして出来てなかったので、できて良かった」

 ―良かった点は。

 「チームが連敗してますが、上位とは差がない。自分が(連敗を)止めるんだ、勝って(11日に先発する)小笠原につなぐんだ、ということをモチベーションにしました。何が良かった火というより、最後まで集中力が続いたと思います」

 ―9回のマウンドで考えたことは。

 「(8回の攻撃で)3点目が入ったことが大きかった。(1人でも走者を出して)山田君、バレンティンに回ったら交代だろうなと思っていました」

 ―山田、バレンティンを内角、外角とボールを出し入れして無安打に抑えた。

 「何度も対戦しているし、それが駆け引きだと思う。(捕手の)松井雅とどう攻めるか話をしていたが、彼がいいリードをして抑えてくれた」

 ―打っても先制打。

 「振ったら当たっただけ。まさか打てるとは思わなかった。自分を楽にした先制だった」

 ―2位以下は混戦。

 「連敗していましたが、打線は調子がいい。でも、やっぱりウチは投手が抑えて守り勝つチーム。これからも試合を作ってロースコアで勝てるよう、若い子に負けずにやっていきたい」

 (囲み会見)

 ―9回は完封を意識したか。

 「最後まで走者を置かないように意識して、緊張していました。完封よりも、このチームは四球(リーグ最多の374与四球)が多すぎるので、無四球にこだわってました。僕の中で四球は無駄な出塁だと思っている。足が速い打者なら二塁打(と同じ)になってしまう」

 ―今季は序盤から「9回を投げ切って大歓声を浴びたい」と言っていた。実現した感想は。

 「思いの外、静かだなと。集中していたので耳に入ってこなかった。でも(攻撃中の)キャッチボールの時に(一塁側のファンから)『完封頑張れ。先頭打者が大事やぞ!』という激励がありました(報道陣爆笑)」

 ―前回の完封を覚えているか。

 「阪神戦でしょ? え、違う? じゃあ覚えてないです(苦笑)。でも(完封より)無四球にこだわってるんで。出すことにメリットはない。出すくらいなら打たれた方がいいと」

 ―7回先頭の山田をカウント2―2から内角ボールゾーンからストライクゾーンに入る“フロントドア”で三振に仕留めた。

 「きのうの新幹線でDAZNで(ヤクルト―DeNA戦を)見てました。(DeNAの先発の)ウィーランドが使ってたわけじゃないんですが(ヒントになった)。(この日の試合前に)松井雅に『外一辺倒じゃなく、こういうの(内角のスライダー)もどう?』と言ったら、彼は『いや~…』と(報道陣爆笑)。でも『頭に置いときます』と言ってくれた。あの場面でサインを出してくれるとは思わなかった。彼が(完封に)導いてくれました」

 ―前回の登板後、長男・嶺(りょう)君がメッセージカードをくれたとインスタグラムにアップした。

 「毎回くれるんです。いつも言ってますが、僕一人じゃここまで来られてない。嫁がいて子供がいて…うるさいんですけどね(笑い)。家にいると楽しいし癒やされる。家族のために頑張らないといけないと思います」

 ―嶺君が今月25日に9歳の誕生日。それもモチベーションになったか。

 「きょうはモチベーションがいっぱいあった。連敗を止めること。勝って小笠原につなぐこと。あとは前回(8月3日の巨人戦)は途中降板(6回2/3、2失点)している。先発して途中降板が一番情けない。しっかり投げ切って交代したいということを終盤も考えていた。それが集中力になった」

 ―駆け引きでヤクルト打線を上回った。

 「でも今年はできてないことが多かった。相手があることなので、意図のあるボールを打たれることもある。ただ中途半端に投げるのはダメ。今年『こうしようかな、ああしようかな』と(自分に)半信半疑で投げたことがあった。それでは結果に責任を持てない。後悔しないよう、打者と駆け引きというか、18.44メートルの空間を楽しくはないが、楽しむようにしている。でもやっぱり苦しい」

 ―102試合を消化して投球回は96回2/3。2011年以来の規定投球回も見えてきた。

 「そこもひとつの目標ではあるんですが、まず長い回を投げたいというのがある。試合を作った延長で8、9回と投げられればいい。先を見て(目の前の試合を)おろそかにすると痛い目に遭う。結果、長い回を投げられれば、それでいいです」

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