【日本ハム】和製ルース・清宮、草薙で104日ぶり一発 キヨダンス初披露

スポーツ報知
7回1死二塁、清宮が右越え2号2ランを放つ(カメラ・能登谷 博明)

◆日本ハム5―10ソフトバンク(21日・静岡)

 これが怪物の持つ運命なのか。昇格即スタメンで迎えた第3打席。静岡の夜空に、清宮が放物戦を描いた。8点を追う7回1死二塁。中田の真ん中高め138キロを右翼席中段へはじき返した。5月9日のオリックス戦(京セラD)以来、104日ぶり2号2ラン。「うまく反応できた。(打った瞬間)いったなと」。ベンチ前では、首と両手を左右に振って踊る「キヨダンス」を1軍で初披露した。

 かつて英雄たちが躍動した地。草薙球場は1934年、日米野球でベーブ・ルースもプレーした。清宮は中学1年時に出場したリトルリーグ・ワールドシリーズで3本塁打で優勝に貢献し、米メディアから「和製ベーブ」と騒がれた。この日は試合前にベーブの銅像の前で記念撮影。「いろいろな縁が重なって、本塁打が打てたのかな」と笑った。

 栗山監督の賭けに満点回答した。右肘炎症から今月11日に実戦復帰したばかり。送球に不安が残り守備は一度も就いていなかったが、指揮官は20日に昇格を決断。「夜まで大反対を含めて、周りをねじ伏せた。呼ぶべきだと思った」と期待したとおり、日本ハムの新人では大谷翔平以来となるシーズン2本塁打を放った。

 試合は10失点で3連敗。「打てたのは良かったけど、もっといい結果を求めて、それが勝利につながればいい」と表情は厳しいが、19歳の一発を手始めに終盤に3点を返した。指揮官が求める「大きな流れ」のきっかけを生んだのは、間違いなく清宮。甲子園決勝の日にアーチをかけた怪物は、やはり何かを持っている。(小島 和之)

 ◇1934年11月20日の全日本―全米戦(草薙)

 伝説の本塁打王、ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグらを擁する全米選抜が、全日本と戦った日米親善試合の第10戦。日本はこの代表チームに入るために京都商(現京都学園)を中退した17歳の沢村栄治が先発した。1回1死のゲリンジャーからルース、ゲーリッグ、フォックスを4連続三振に奪った伝説の右腕に対し、この年ア・リーグで3冠王を獲得した左打ちのゲーリッグが、7回1死でカーブをとらえて右翼スタンドまでアーチを描いた。これが決勝点になり、大リーグの面目を保った。

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