【楽天】久保裕也「野球できれば何もいらない」同期松坂世代から刺激

スポーツ報知
サインとともに、「恩返し」と書き込んだ久保

 楽天の久保裕也投手(38)が、24日までにスポーツ報知のインタビューに応じた。2015年には巨人、16年にはDeNAを戦力外となりながら、昨季はテスト入団した楽天で3年ぶりの白星を挙げるなど復活。昨オフに手術を受け育成契約となったが、5月に支配下に復帰すると、24日までに20試合に登板し1勝0敗1セーブ、防御率2・08と存在感を見せている。現役にこだわり続けるベテラン右腕が、野球への思いを語った。

 イニングまたぎにピンチでの登板と、久保は状況を問わずマウンドに上がる。昨オフ「右第4、5指血流低下」で手術を受け、一時的に育成契約にもなったが、5月の支配下登録後は昨季以上の安定感を見せている。

 「今年は比較的バランスよく投げられていると思います。去年よりもいいとき、悪いときの差は少ない。キャンプから投げていたし、手術の影響とかは何もない」

 今年38歳。全盛期ほどの球速は望めず、徐々に投球スタイルにも変化はある。

 「もうちょっとスピードがあれば、真っすぐでファウルを取ってという計算もできるけど、やっぱりはじき返される確率の方がたぶん高いんで。とにかく変化球のコントロールと、真っすぐをうまく見せながらというスタイルが、今、僕の中ではそうしていくしかないだろうなと。ただ、今までも剛腕というタイプじゃなかったので、別にそんなに変わっていないと思います」

 戦力外となっても、現役にこだわる理由は明快だ。

 「単純に野球が好きだし、グラウンドでみんなと一緒に野球ができるという環境があるのはすごく幸せなこと。あと何年やれるか分からないし、とにかく、その日、その日を楽しくやろうって決めてやっているんで」

 1980年生まれの松坂世代。松坂を筆頭に同期が話題になることも多いが、自分自身のことに集中している。

 「やっぱり刺激にはなりますし、もちろんね。話題になったら記事だったり、そういうのもやっぱり見ちゃうし、まあ意識はしている部分も、もちろんある。でも、僕はもう松坂世代がどうこうっていうよりも、自分自身のこと、今は1年1年楽しもう、1日1日楽しもうと思えているから、毎日明るくできているのかなと思います」

 誰よりも楽しそうに、グラウンドに飛び出す姿が印象的。そのきっかけは戦力外だった。

 「戦力外が大きいですよね。野球をできない環境が、もしかしたらできなくなるんじゃないかというのが2回訪れてるから、やっぱり野球ができる環境があるだけで安心するし、野球が好きなんで、野球さえできれば、僕はもう本当に何もいらないって思っています」

 普段のリフレッシュ方法を聞くと、試練をくぐり抜けてきた右腕だからこその答えが返ってきた。

 「練習中もリフレッシュしているし、野球を楽しみながらね。今までは例えばちょっと打たれてる試合が多かったら、そろそろ2軍落ちるかもっていうストレスを感じながら、だから余計、真剣にというか、取り組みすぎて、悪い方向に向かっていた。でも、今はもう次、次って切り替えられている。練習やりながらストレスを感じてないから、だいたい毎日リフレッシュしています」

 自身を受け入れてくれたファンや球団への感謝は、1つでも多くの白星で返したいと思っている。

 「1試合でも多く勝つことだと思うし、シーズンを振り返ったときに久保がいてよかったなと思える試合が、何試合かあれば、それでいいかなと思っています」

 ◆久保 裕也(くぼ・ゆうや)1980年5月23日、福岡県生まれ。38歳。沖学園高から東海大を経て、2002年ドラフト自由枠で巨人入り。10年には79試合登板、11年には20セーブと活躍したが、15年限りで巨人を戦力外となり、DeNAへ移籍。16年にDeNAも戦力外となり、17年2月にテストを受け、楽天に入団した。177センチ、78キロ。右投右打。今季年俸は1500万円。

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