【日本ハム】栗山監督、勇気を届ける「野球人としての責任、使命」 先発・上沢「明日の登板は特別」

スポーツ報知
上沢は寮の前でキャッチボールし調整する

 日本ハムの栗山英樹監督(57)が「北海道胆振(いぶり)東部地震」の被災者に勇気を届ける戦いを誓った。チームは7日、午後から運航を再開した新千歳空港から、8日からの楽天3連戦(楽天生命)に向け仙台へ移動。第1戦で先発する上沢直之投手(24)は「明日の登板は特別」と、北海道のファンへ贈る白星に並々ならぬ決意を示した。

 栗山監督は力を込めて語り始めた。「我々が野球をやることによって、しっかりと前に進んでくださる力になるのであれば、やらなければいけない。野球人としての責任、使命」。交通手段を絶たれ、この日の楽天戦は中止。仙台へ向かう方法を模索し、同日午後に復旧した空路で現地入りした。北海道を襲った大地震の被害。野球がファンの力になると信じたかった。

 自宅のある栗山町も震度5弱の揺れに襲われた。幸い庭の木が倒れる程度で自らや住宅に大きな被害はなかった。選手の安否はすぐ把握したが、地震後に直接選手と顔を合わせたのはこの日が初。ナインには「大変だけど野球選手の使命。こういう時に頑張らないと意味がない」と伝えた。終盤戦のし烈なV争い。「勝つのが一番だけど、そんなことじゃない。命懸けで野球をやっている姿を見せないと何も意味ないだろ」。天災と戦う道民に恥ずかしくない姿を示す決意だった。

 先発を託された上沢は、戸惑いも口にした。「正直こういう中で野球をやっていいのかなって気持ちの方が大きい」。自らは寮で被災。「被災して初めての試合。被災した方に勇気を与える投球をしないといけない。特別な試合になりそうです」。本別町で獣医師をしている実姉も被害にあった。今も余震におびえる人がいる中、野球ができる感謝と責任は理解している。

 過酷な2日間を乗り越え球場の芝を踏む。寮は7日午前時点で水道は止まり停電のまま。6日は懐中電灯5個とろうそくで夜を明かしたという。ガスは通っており米は炊くことはできたが、スマートフォンの充電を車1台でまかなうしかない状況だった。

 札幌Dは安全確認が済んでおらず、11日からの本拠地・ロッテ2連戦は開催に向け検討中。だが上沢は「いつまでも暗い顔をしていられない。誰かが先頭に立って明るい話題を提示しないと。皆さんの気が晴れるような姿を見せたい」とナインの声を代弁した。戦う理由は北海道のため。残り23試合は負けられない。(秦 雄太郎)

 ◆監督と7選手ツイッターで応援動画公開

 日本ハムは7日午後、球団公式ツイッターで、栗山監督と7選手による北海道の地震被災者に向けた応援動画を公開。清宮幸太郎内野手(19)も1分ほどの動画で「たくさんの人が苦しい思いをされていると思います。そんな中でも皆さんに勇気や希望を与えることが僕たちの使命であり正義だと確信しています」とメッセージを送った。

 地震発生時は札幌市内の寮にいた。室内練習場も停電が続いたため、照明がつかず、2日間練習もままならなかった。7日午前に、ようやく札幌市内のジムで体を動かして、仙台へ移動した。自らの使命を自覚する19歳は「ファイターズの掲げる“HOKKAIDO PRIDE”を胸に皆さん一緒にこの困難を乗り越えていきましょう」と力強かった。

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