【日本ハム】北海道に1勝届けた!中田が史上2位の今季12犠飛 

スポーツ報知
地震後の初勝利を挙げ、ハイタッチを交わす日本ハムナイン

◆楽天1―3日本ハム(9日・楽天生命パーク)

 日本ハムが北海道胆振(いぶり)東部地震の発生後、初めての白星を挙げた。初回、中田の犠飛で先制し、その裏に追いつかれたが、2回に浅間が勝ち越しの3号2ランを放った。レギュラーシーズンは残り21試合。北海道の人々への思いを胸に、ナインは全力で戦い抜く。

 小雨も気にせず、日本ハムナインが歓喜のハイタッチを交わした。6日の地震発生後、2試合目で北の大地に白星を届けた。栗山監督も少しだけ安どの表情を浮かべた。「何とか勝たないといけないんだ、という思いが勝ちにつながったのがうれしい。そういう選手たちであってくれるのがうれしい」と目を細めた。

 思いを体現したのは中田だった。初回1死一、三塁。真ん中低めの直球を、丁寧に狙って打ち上げた。先制の右犠飛で主導権を奪った。「(好機を)作ってくれているみんなに感謝です」。今季12犠飛として、75年の佐々木(近鉄)に並んでパ2位に浮上。セで11本だった78年の王や98年の清原(ともに巨人)を抜き、プロ野球記録まであと3本とした。勝ちに徹する打撃こそ、フォア・ザ・チームの姿勢を物語っている。

 選手も被災者だ。幼い女の子2人も住む札幌市内の中田宅も停電に見舞われた。食料の蓄えも十分でなく「自分と嫁は大したものは食べてない」と振り返る。震災から一夜明けた7日午前。仙台行きに向け、夫人と子どもたちと一緒に車で札幌市内の合宿所に集合した。電車も動かず、まだ信号機が完全に復旧していない道路は、車があふれる異常な状態。運転を交代して帰路につく夫人に「飛ばすなよ! 気をつけていけよ」と心配そうに声を掛けていた。

 経験した不安は市民と同じ。だからこそ思いは強い。「試合を見てる状況じゃない人もたくさんいるかもですけど、見てる人が『勝ったし、よかったね』って思ってもらえる試合をしたい」とナインの思いを代弁した。

 苦境は続く。北海道は物流もまだ不安定で、食事面の不安も残る。11、12日に予定された札幌Dのロッテ戦が中止になり、10日の楽天戦(楽天生命)後は千葉・鎌ケ谷の2軍施設で練習を行うことが決定した。

 それでも心は一つ。「みんなが自分の使命を感じてやってくれているのは、ベンチにいても分かる」と指揮官。明るいニュースを届けるため、戦い抜く。(秦 雄太郎)

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