【中日】松坂、38歳誕生日に12年ぶり甲子園勝利…杉内、村田に「自分はもう少し頑張るよ」

スポーツ報知
6勝目を挙げて笑顔の松坂

◆阪神2―6中日(13日・甲子園)

 平成の怪物が12年ぶりの甲子園で躍動した。中日・松坂が西武時代の2006年6月9日以来、4479日ぶりとなる通算3度目の甲子園での公式戦登板。5回5安打1失点で6勝目を挙げ、38歳のバースデー登板を自ら祝った。横浜高時代の20年前に春夏連覇を達成した地で、日米通算170勝をマーク。巨人・杉内、DeNA・後藤、BC栃木・村田と「松坂世代」が次々と今季限りでの引退を表明する中、世代の第一人者が輝きを放った。

 去りゆく3人へ届けとばかりに、松坂は腕を振った。6―1で迎えた5回2死二、三塁。大山を空振り三振に仕留めると、力強く拳を握った。「後藤、杉内、村田と引退表明が続いて、彼らの分も気持ちを込めて『自分はもう少し頑張るよ』という決意表明の日にしたかった」。5回1失点でつかんだ今季6勝目で日米通算170勝。何より世代のリーダーとしての存在感を示せたことがうれしかった。

 140キロ前後の「動く直球」が抜群だった。最速も144キロを記録するなど、かつての剛腕ぶりを思い起こさせた。失点は4回の陽川の適時二塁打のみ。この回の投球時に左足をひねって5回で降板したが、2日の巨人戦(ナゴヤD)で7失点した雪辱を果たし「久しぶりに真っすぐが良かった」と珍しく自画自賛した。

 9日にBC栃木・村田、10日にDeNA・後藤、12日には巨人・杉内と、同世代が立て続けに今季限りでの引退を表明した。20年前に伝説を築いた甲子園の地で、ぶざまな投球はできなかった。「スギなんかは、きょうは(テレビで)見てくれていると言ってくれた。いい投球、いいボールを見せられた」とうなずいた。

 4月中旬に現在、米独立リーグ、シュガーランドに所属する久保康友(前DeNA)の米球界挑戦を関係者から一足早く聞いた。ただ、その前にメキシコの球団と契約寸前に破談していた事実を知らされると、厳しい現実に表情を曇らせた。松坂自身、昨オフのソフトバンク退団後、一時は米独立リーグ挑戦を視野に入れていただけに「(メキシコではなく米国でプレーする久保は)治安を考えると良かったのかな」と声を絞り出した。同世代が岐路に立つなか、恵まれた環境で野球ができる喜びをかみしめた。

 2回の打席に入る際、左翼の応援席からハッピーバースデーが演奏されると、阪神ファンからも声援を受けた。「誕生日にここで投げるのは、20年前のアジア大会決勝で完投して以来。甲子園が何か力をくれたのかな」とほほ笑んだ。高校時代から6度目のバースデー登板だが、5勝無敗となった。

 チームは5位に浮上し、3位・巨人とは3差。「何とかプレーオフにつなげたい」と力を込めた。残り12戦。6年ぶりのCSへ、望みは捨てない。(嶋田 直人)

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