【DeNA】Gキラー東、8回1安打で5戦5勝「大事な試合に勝てて自信になる」

スポーツ報知
8回を1失点に抑えて11勝目を挙げた東。巨人戦はデビューから5戦5勝となった(カメラ・矢口 亨)

◆巨人1―6DeNA(19日・東京ドーム)

 笑っていた。完全試合が消えても東はマウンドですぐに切り替えていた。7回2死までパーフェクトも、21人目のマギーに右翼席へソロを許した。「(走者が)出ていないのはわかっていたけど、完全試合をしてやろうという気持ちはなかった。悔しいというよりホッとした。楽になれた。正直ヒットでリズムを崩されるより一発でよかった」。5点のリードを冷静に判断し、その後も凡打を築いた。

 負けないGキラーだ。8回1安打1失点。巨人戦5戦5勝で自身の新人からの記録を伸ばした。右打者8人の巨人打線に内外角に直球を制球し、チェンジアップでタイミングを外した。試合前まで対左打者の被打率は2割4分2厘で、対右は2割3分6厘。右でも左でも苦にしない投球を披露し、1958年鈴木隆以来60年ぶりの球団新人左腕の11勝に「めちゃくちゃ調子がいいわけではなかったけど、たくさん点を取ってくれて余裕が生まれた。自分の投球に集中できた」と序盤のリードに感謝した。

 身長170センチ。大きくないからこそ幼い頃から向上心と研究熱心さが身についた。愛工大名電では甲子園に出場。関東の大学からも誘いはあったが「試合に出られないとプロへアピールできない」と左腕不足で1年生から登板できそうな立命大を自ら選んだ。大学では「野球につながる」と心理学を専攻。ハトの行動分析にも励んだが「野球につながることは何もなかった」と苦笑い。それでもそのチャレンジ精神が今の東をつくってきた。

 プロに入りイニング間のバナナは大学時代から継続。夏からは疲労回復に効くというトマトを多めに摂取。さらには、朝と練習後に抗酸化作用があるアサイードリンクにも挑戦。「最初はまずかったけど毎日飲んでます」といいものは何でも取り入れていく。

 幼い頃から巨人ファン。これまでは応援歌やチャンステーマが耳に入ってきたが、この日は「余裕がなかったのか、試合に入り込んでいたのか、全然聞こえてこなかった」と笑う。集中力を高め自ら「今季一番重要」と位置づけた試合に勝利し先月1日以来の4位に浮上。3位・巨人と0・5差に迫り「大事な試合に勝てて大きな自信になる」とうなずいた。逆転CSへ22歳の左腕がチームのギアを加速させた。(岸 慎也)

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