【ロッテ】難病を乗り越えた大隣が引退「現実と自分の動きが離れていた」

スポーツ報知
引退会見に臨んだロッテ・大隣

 ロッテの大隣憲司投手(33)と岡田幸文外野手(34)が26日、ZOZOマリンで引退会見を行った。

 グレーのスーツに身を包み会見に臨んだ大隣は「(引退を決断して)ホッとしている部分もありますし、やりきった気持ちもある。でも、複雑と言えば複雑です」と心境を明かした。

 ソフトバンク時代の12年に自己最多12勝を挙げるなど先発として活躍。しかし、13年に国指定の難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」を発症した。その影響から下半身の一部には今もマヒが残る。「体も言うことがきかなくなってきた。もう一回マウンドに戻るという気持ちを持って常にやってきましたけど、現実と自分の動きが離れているところもあった」。自分の思い描く理想のフォームでボールが投げられなくなったことが大きな決断の理由だった。

 一番の思い出には14年7月27日のオリックス戦(ヤフオクD)で7回1失点の好投。422日ぶりに勝った復帰後初白星の登板を挙げた。「あれだけの投球ができて自信が戻った」という試合。国指定の難病を乗り越え勝利を手にしたのはプロ野球史上初めてだった。

 その後は17年にソフトバンクを戦力外となり18年にロッテにテスト入団した。今季は5月2日のソフトバンク戦(ZOZO)で登板したが、2回途中7失点で敗戦投手となった。「獲っていただいたけど、力になれずに本当に申し訳ありませんでした、のひと言。ホークスを倒すために自分自身もその気持ちでマウンドに上がったけど、全然期待に応えられなかった」とファンへの謝罪も口にした。

 チームメートの南が8月に自身と同じ「黄色靱帯(じんたい)骨化症」を発症した。浦和のグラウンドで言葉を交わし、色々と助言も送ったという。ロッテに入団し、1年という短い時間だったが、若手投手からも慕われた心優しき左腕。今後については未定だが、「野球しか知らないので、野球界に貢献できれば」と球界への恩返しを誓い、静かにグラブを置いた。

 ◆大隣憲司(おおとなり・けんじ)1984年11月19日、京都市南区生まれの33歳。京都学園高から近大に進み、2006年大学・社会人ドラフト希望入団枠でソフトバンク入り。17年に戦力外通告を受け18年にロッテにテスト入団。通算成績は140試合に登板し52勝49敗、防御率3・36。

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