【西武】主将・浅村「CSを突破しないと意味がない」

スポーツ報知
優勝会見で笑顔を見せる浅村(カメラ・渡辺 了文)

◆日本ハム4―1西武(30日・札幌ドーム)

 西武は日本ハムに敗れたが、2位・ソフトバンクがロッテに敗れ、10年ぶり22度目のパ・リーグ優勝を決めた。

 個性派集団のど真ん中には、いつも背番号3がいた。主将として、歴史的な強力打線の主軸として、浅村はたくましくシーズンを駆け抜けた。「本当に良かった。1年間、頑張ってきて良かった…」。この日は勝利に導く一打は出なかったが、2打数1安打2四球。打率3割6厘、30本塁打、120打点で、山川と並びMVP有力候補に挙がる活躍を見せ、辻西武を10年ぶりの歓喜へといざなった。

 あの屈辱から5年がたった。13年9月26日の楽天戦(西武D)の9回裏、一打逆転の場面。田中に空振り三振を喫した瞬間、楽天の優勝が決まった。映像で同じシーンが流れるたび、悔しさを募らせた。15年以降3年連続で眼前の胴上げを許した。「自分たちも早くこういう経験がしたい」。心底思った。歓喜の胴上げを終えた浅村は「ライオンズが一番、悔しい思いをしてきた。それが形になって本当に良かった」と実感を込めた。

 球団の日本人初となる3割30発100打点に当確ランプをともした。文句なしの成績を収めてなお、主将は「キャプテンとして全部のことをできたわけじゃない。みんなのおかげ」と感謝だけを口にした。前回優勝の08年は、主軸の中島がリーダー格として若い中村や栗山を引っ張った。同年ドラフトでプロ入りした浅村にとっては初の優勝。中島に憧れ、17年からは背番号3を継承した。個性あふれるチームの中心で戦い抜いた今季の姿は、「ミスター・ライオンズ」と呼ばれた中島に重なった。

 シーズン中には左膝痛をおして強行出場を続けた。主力の意地と主将の責任が1年間、浅村の体を突き動かした。「CSを突破しないと意味がない。喜ぶのは今日まで。先のことを考えてやっていきたい」。負けて終わる戦いは嫌というほど経験した。今年こそ、笑って1年を締めくくる。(宮脇 央介)

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