【オリックス】FA決断の西勇輝、入院で培われた動じない強い心

スポーツ報知
FA権行使を決断した西

 オリックス・西勇輝投手(27)が今オフ、国内フリーエージェント(FA)権を行使することが2日、分かった。プロ入りから10年間在籍したチームに強い愛着を示す一方で、プロとして可能性を試したい純粋な気持ちから、FA宣言を決断した。複数の球団が獲得に乗り出すことは必至。残留を求めるオリックスを含めた大争奪戦に発展することは間違いない。

 躍動感のあるフォームに、心の底から野球ができる喜びが表現されている。西が選手生命の危機に直面したのがプロ2年目の夏。顔面神経まひを発症し、入院生活を余儀なくされた。ボールを握るどころか、味覚を失い、後頭部にも激痛が走る恐怖感。当時19歳の若者が経験した不安は、相当なものがあったはずだ。

 翌11年に初の2ケタ勝利。「あの時に比べれば…」と少々のことでは動じない強い心が培われた。

 チーム内の先輩の金子に師事。侍ジャパンで意気投合した巨人・菅野にも弟子入りし、オフに合同自主トレを行っている。彼らから学んできたのはエースらしさ。かつて、森脇元監督が金子、ディクソン、西の3人を「長男、次男、三男」と形容し、「三男」には厳しく接することが多かった。だが、今は、やんちゃな「三男」を卒業し、チームの大黒柱だ。

 「毎日、成長することしか考えていません」と目をキラキラと輝かせている。昨季途中にツーシームを完全習得。投球の幅を広げている。投げられる喜びを忘れず、真摯(しんし)に、前進を続けている。

 ◆西 勇輝(にし・ゆうき)1990年11月10日、三重県生まれ。27歳。菰野高から08年のドラフト3位でオリックス入団。12年10月8日のソフトバンク戦(ヤフーD)でノーヒットノーランを達成。14年には球団新記録の開幕8連勝。同年の日米野球、15年のプレミア12で日本代表。通算成績は209試合で74勝65敗1セーブ、防御率3・30。181センチ、80キロ。右投右打。既婚。年俸1億2000万円。

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