【阪神】大山、真の4番へ振らない心構え身につけろ…掛布雅之氏特別観戦記

スポーツ報知
7回1死一、二塁、大山は空振り三振に倒れる

◆阪神4x―3DeNA=延長10回=(6日・甲子園)

 阪神はドラフト4位ルーキーの島田が延長10回サヨナラ安打を放ち、甲子園での連敗を8(1分けを挟む)で止めた。Bクラスが確定した消化試合にもかかわらず、聖地には4万2166人のファンが駆けつけ「六甲おろし」を合唱。阪神・掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(63)が特別観戦記を寄せた。

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 甲子園の一塁側アルプス席、右翼席は満員だった。Bクラスが確定しても、熱心に応援してくれるファンはありがたい。「未来のタイガース」を感じてもらうためにも、ルーキーの島田のサヨナラ安打は素晴らしい結果となった。

 ただ、残念なのは「未来のタイガース」で4番を期待される大山の打撃だ。同点の7回1死一、二塁で3球三振に倒れるなど、5打数無安打だった。今季のチームが低迷した大きな要因はロサリオが4番として機能しなかったこと。来季以降、常勝チームを目指すには「真の4番打者」が必要だ。大山がそうなるためには、一皮むけないといけない。

 初球から振っていく仕掛けの早いタイプだが、チャンスでの早打ちは「焦り」と見えてしまう。7回の打席は、初球の高めスライダーをファウル。2球目は外角のボール球のスライダーを空振り。3球目は外角のボールのストレートを空振りした。積極的にスイングするのは悪いことではないが、仕留めなければ意味がない。狙い球を絞って、どっしりと構えれば、打者有利のカウントにもっていけたはずだ。

 9月の月間打率が4割を超えた打撃は、大山自身が思う以上に相手に警戒されている。得点圏の打席で甘い球は簡単には投げてこない。打者として一つ階段を上ったのは確か。次のステップは「振らない怖さ」を相手に感じさせること。カウント2―2からの勝負を楽しめるような打者になれば本物だ。

 それは大山だけでなく、中谷にも陽川にも言えること。何年も主軸打者を務めるには、振る力を身に付けるだけでなく、打席でのメリハリ、心構えを養わないといけない。若虎はシーズンの残り打席を無駄にすることなく、貴重な経験の場としてほしい。

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