【ロッテ】岡田、愛娘から花束 涙の引退試合「最高の野球人生」

スポーツ報知

 球史に残る沈黙を引退試合で打ち破った。「いや~、うれしい。やっぱり、Hがつくと。悔いはない。最高の野球人生でした」。ロッテ・岡田が、16年から59打席連続無安打で野手ワースト記録を更新しながら、直後に猛打賞。“三本締め”で10年間の現役生活にピリオドを打った。

 三塁線を破ると、734日ぶりの歓声が響いた。「1番・中堅」で出場。5回先頭で初球の外角球を仕留めた。「気持ちでしょうね。もうちょっと早く気づけばよかった。1本出ると、球が見えて余裕が生まれる」。7回に中前ポテン。9回2死では右前安打を放ち、二盗も決めた。16年10月4日の楽天戦(QVC)以来、60打席ぶりの安打から、これも同日以来の猛打賞。記録にも、記憶にも焼き付けた。

 3回の安打性のライナーは遊撃がジャンピングキャッチ。好守に阻まれ、76~77年の南海・桜井輝秀の58打席を上回り、野手の連続打席無安打を41年ぶりに更新。ゴールデン・グラブ賞2度の名手は「自分らしい。あれがあったから安打につながった」とうなずいた。

 育成から駆け上がり、もう一つの日本記録を添えた。10年のプロ初打席から2501打席連続ノーアーチ。「ただガムシャラに球を追いかけ、グラウンドを駆け回る。ホームランは打てません。なのに10年間できた。(今後は)守備範囲の広い選手を育てたい」。井口監督、3人のまな娘に花束を渡され、涙があふれた。チームは本拠で13連敗。それでも、エリア66と称された中堅の位置でナインに6度胴上げされると、本塁では側転からバック宙で舞った。岡田にしか描けない、美しい円弧だった。(山崎 智)

 ▼…岡田(ロ)が2打席目まで凡退。これで16年10月5日楽天戦の1打席目から、通算59打席連続ノーヒット。連続シーズンでの連続打席無安打のプロ野球記録には、64~65年に投手・嵯峨健四郎(東映)の90打席があるが、野手では76~77年桜井輝秀(南海)の58打席を抜く最長記録になった。

 ▼…この試合では3打席目から3安打(16年10月4日楽天戦以来の猛打賞)したものの、本塁打はなし。プロ入り通算2501打席本塁打0で現役生活を終えた。連続打席本塁打なしの記録は(★は初打席から)

 打者  打席数 通算[本]
赤星憲広 2528  〈3〉
岡田幸文★2501  0
東出輝裕 2393  〈12〉
中島卓也★2286  〈2〉
日下 隆 2088  〈1〉

 岡田が赤星に次ぎ2番目、初打席からは最長記録。通算2000打席以上で本塁打0は岡田だけだ。なお、現役最終試合に3安打の猛打賞は、最近では13年10月8日阪神戦で、小池正晃(D)が2本塁打を含む3安打をマークしている。

 ◆岡田 幸文(おかだ・よしふみ)1984年7月6日、栃木県生まれ。34歳。作新学院高から全足利クラブを経て、2008年育成ドラフト6位でロッテ入団。09年3月に支配下選手登録。11、12年にゴールデン・グラブ賞。通算910試合に出場し、打率2割5分5厘、0本塁打、119打点、142盗塁。177センチ、70キロ。左投左打。家族は由美子夫人と3女。

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