【阪神】金本監督の電撃辞任 球団のフォロー無く追い込まれた…記者の目

スポーツ報知
甲子園での最終戦を終え、深々と頭を下げる金本監督(手前)

 阪神・金本知憲監督(50)が11日、17年ぶりの最下位に低迷した責任を取り、電撃辞任した。就任2年目を2位で終えた昨オフに新たな3年契約を結んでおり、来季の続投が既定路線だった。後任の最有力候補には矢野燿大2軍監督(49)が挙がっていることが明らかになった。

 形の上では「辞任」だが、「辞任の流れ」に追い込んだとみられても仕方がない。揚塩球団社長は会見で「(辞任想定が)ないと言えばウソですね。最下位ですから、ひょっとして気持ちがどこかに監督の中にあるのかなと。ゼロではない」と答えた。だとすれば、なぜもっと早く本気で引き留めなかったのか。

 確かに球団内では金本監督を支える勢力もあった。Bクラスが確定して弱気になる指揮官にいったんは続投を決心させた。10日まで来季の組閣を着々と進めていた。だが、強烈な向かい風も吹いていた。9月下旬には遠征先の宿舎で、ファンと言い争ったような動画がSNSで出回り、電鉄本社にも抗議の電話が入った。今月3日には3位の巨人・高橋監督が辞任。最下位が確定しても「続投」するという報道に、バッシングの電話が球団に殺到していた。

 そんな中、球団トップがファンに対して、現場を擁護するメッセージを発信することはなかった。若手が伸び悩むなど、金本監督への全幅の信頼が揺らぐ中、精神的に追い込まれる様子を放置していた。最後は孤立無援の決断。側近のコーチ陣にも辞任を伝えたのは、前夜、球団との話し合いを終えた後だった。再建を託して、三顧の礼で迎えられた鉄人が道半ばで虎を去る。(阪神担当キャップ 島尾 浩一郎)

野球

×