【ソフトバンク】雄星対策、工藤監督の采配決まった“ポストシーズン男”川島が逆転打 

スポーツ報知
7回1死満塁、長谷川勇の2点打で生還したデスパイネ〈54〉、中村晃〈7〉を迎える柳田(中央)らソフトバンク・ナイン(カメラ・佐々木 清勝)

◆2018 パーソル クライマックスシリーズ パ 西武4―10ソフトバンク(17日・メットライフドーム)

 パは第1Sを勝ち上がってきたソフトバンクが、逆転で西武に勝ち、1勝1敗のタイ(西武の1勝アドバンテージ含む)に持ち込んだ。1点を追う4回、1番に抜てきされた川島が左前へ逆転打。その後、上林の適時三塁打、グラシアルの適時打も続く猛攻で、この回5点を奪うなど、10得点で大勝した。西武はエースの菊池が5回6失点と崩れた。

 選手をハイタッチで出迎えた工藤監督に、安堵(あんど)の表情が浮かんだ。16安打で10点を奪い西武を圧倒。「選手が一丸になって戦ってくれた」。1勝1敗のタイに持ち込んだナインに、まずは感謝した。

 菊池攻略の裏には指揮官の決断があった。“対菊池仕様”ともいえる打順が見事に機能したのは4回だ。2死満塁から川島が左前に逆転2点打を運んだ。昨年、日本シリーズ第6戦で日本一を決めるサヨナラ打を放った“ポストシーズン男”。シーズン終盤は牧原、上林ら俊足の左打者を1番に据えたが、右打者の1番は菊池が先発した8月24日の西武戦(ヤフオクD)以来、CS第1Sも含めると40試合ぶりだった。

 「読みもいいし、どういうボールをどう打つかイメージがしっかりできている。相手に一番嫌だなと思わせたかった」と、起用の意図を明かした。後半戦のスタメン出場はわずか2試合だったプロ13年目のベテランの勝負強さにかけた。「西武のエース、菊池雄星くんを潰して勝ち上がるイメージはみんなで持っていた」と、ヒーローも胸を張った。

 川島の一打に上林、グラシアルも続いた。4回のタイムリー3本は全て140キロ台のスライダー。球速帯の違うカーブ、チェンジアップは捨てる―。指示がはまった。菊池をKOし、指揮官のタクトもさらにさえた。7回には1死一、二塁から代打で内川、長谷川勇と連続で右左の代打の切り札を惜しげもなくつぎ込み3点を加点。「どこでどういくかはある程度、決めていた。そのタイミングを逃さないよう注意した」と、勝負手も決めた。

 2004年以降、パ・リーグのプレーオフ、CSで1位通過、優勝しながら敗退しているのは04、05、10年のソフトバンク(04年時はダイエー)。唯一、下克上を許している球団だ。初戦を制し、星の上ではアドバンテージを持つ西武と五分に戻した。「ここからもう1度。どっちがあと3つ勝つか。まずはあしたのことだけを考える」と、一戦必勝を誓った工藤監督。タカが初の下克上で“黒歴史”に幕を下ろす。(戸田 和彦)

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