【ソフトバンク】工藤監督、球団初下克上で連続日本一 王さん超えの選手と監督で14度目

2018年11月4日6時0分  スポーツ報知
  • 2年連続日本一を達成し、ナインから胴上げされる工藤監督(カメラ・小梶亮一)

 ◆SMBC日本シリーズ2018第6戦 広島0―2ソフトバンク(3日・マツダスタジアム)

 SMBC日本シリーズ2018は3日、第6戦が行われ、ソフトバンクが2―0で広島を下して4連勝で対戦成績を4勝1敗1分けとし、2年連続9度目(前身の南海、ダイエーを含む)の日本一に輝いた。最高殊勲選手(MVP)には、日本シリーズ記録を更新する6連続で盗塁を阻止した甲斐が選ばれた。4回に西田のスクイズで決勝点を挙げ、先発のバンデンハークは6回無失点で10奪三振の快投だった。ホークス創設80周年のシーズンにリーグ2位からの下克上を果たし、工藤監督は就任4年目で3度の日本シリーズ制覇を達成した。

 “絆”を深めたナインの手で15度、広島の夜空に舞った。シーズン2位と涙をのんだ工藤監督が下克上で2年連続の日本シリーズ優勝を勝ち取った。「最高に幸せです。選手のみんな、本当にありがとう」と、涙を拭った指揮官に最高の笑顔がはじけた。

 絶対に勝つ―。執念がタクトに表れた。第2戦で7回1失点と封じられたジョンソンからどうしても欲しい先制点はスクイズで奪った。7回からは短期決戦用に「第2先発」としてブルペン待機させた武田を投入。8回2死一塁とすると、田中を「左殺し」の嘉弥真で封じ、最後はサファテに代わり今季守護神を務めた森が締めた。

 勝率5割前後と苦しみ、CS進出すら危ぶまれた8月上旬。チームの雰囲気も最悪だった。打開のため指揮官からベンチ入りメンバーの野手全員に声をかけ、2度の食事会を開いた。焼き肉に舌鼓を打ちながら酒を酌み交わした。フランクに意見交換できる場を設けたのは就任4年目で初。野球の話はもちろん、柳田の希望で試合中のガムが解禁されるなど、笑いの絶えない時間が続いた。日本ハムに最大11・5ゲーム差をひっくり返された16年の反省からだった。

 監督2年目の当時は日本ハムに迫られるなか、故障者が続出。チームが“分解”していくのを肌で感じながら食い止められなかった。「今年も故障者が多かった」が二の舞いは繰り返さない。自ら選手に歩み寄り、選手との溝を埋めた。「監督にごちそうになって、楽しくいろんな話ができた。チームが一丸になったというか、すごくいい雰囲気になった」と選手会長の柳田も振り返った。8月は9連勝を含めた18勝6敗。9月中旬には最大11・5ゲーム差あった首位・西武との差を3にまで縮めた。「選手たちは本当によく戦ってくれた」。逆転Vは逃したが、シーズン中にまいた種が、ポストシーズンで実を結んだ。

 今季、最後の試合を覚悟したCS第1Sの第3戦。無表情で隠したが試合中、自身の耳に届くほど心臓が激しく鼓動を続けた。体が熱くなりユニホームの中は汗まみれだった。「やるからには勝たないといけない」。第1Sを勝ち抜き、その思いを改めて強くした。だから“非情”にもなれた。最終S第3戦で不動のレギュラー・松田宣のスタメン外しを決断。「一人一人に満足いく采配はしてあげられないが、勝ちをあげられるように。それが僕の仕事だと思っている」。選手のプライドより勝利を優先した。それでも選手たちは腐ることなくついてきてくれた。「本当に勝ちたい。ベンチの声から伝わって来た。このチームの監督で最高に幸せ」と歓喜に沸くナインを大きな瞳に焼き付けた。

 今季157試合目。どのチームよりも多くの試合を戦いシーズン2位から下克上のドラマは完結した。だが、リーグVを逃した悔しさは決して忘れない。来年こそはリーグ王者として日本シリーズを勝つ抜くためしばらくの休息を挟み準備を始める。(戸田和彦)

 ▼選手&監督で14度V 工藤監督(ソ)は就任1年目の15年から、4年間で3度目のシリーズ優勝。監督1年目から4年間で3度のVは、水原茂(巨)、上田利治(阪急)、森祇晶監督(西)と並び4人目の最多回数になる。前身球団を含めチームの監督では、鶴岡一人、王貞治、秋山幸二監督の各2度を抜いて連覇は初。投手出身でも81、89年と2度の藤田元司監督(巨)を上回り、3度のVは工藤監督が初めてだ。

 3球団で出場し優勝11度の選手時代と合わせると、シリーズは通算14度目のVとなった。選手と監督両方での優勝回数は、巨人でのV9経験者が上位に顔をそろえる中、工藤監督が王監督の13度を抜いて単独3位に進出した。

 ▼守備でMVP 10年の育成ドラフトで入団した甲斐(ソ)が、育成ドラフト出身では初のシリーズMVP。捕手では62年種茂雅之(東映)、67年森昌彦(巨)、97、01古田敦也(ヤ)、09年阿部慎之助(巨)に次いで5人目(6度目)の受賞となった。

 この日は1回に田中、2回にも安部の二盗を刺し、このシリーズ6度目の盗塁刺をマーク。同一シリーズで6度の盗塁刺は、52年の広田順(巨)に並ぶ最多記録だが、3盗塁を許した広田に対して甲斐は0。昨年もDeNAとの〈6〉戦で白崎の二盗を刺しており、まだシリーズでは一度も盗塁を許していない。

 打っては8番、9番打者で各3試合に先発。出場した全試合に8番または9番の下位打順でMVPは、62年に5試合すべて8番で出場した種茂に次ぎ、2人目になる。ただし14打数2安打の打率.143、打点0に終わり、野手では最少安打に最低打率のMVP。打点なしで受賞した野手は米大リーグのワールドシリーズでもおらず、日米通じて甲斐が初。守備での貢献が目立った。

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