【ソフトバンク】柳田独占手記…育ててくれたホークスと川崎に恩返し「チェスト!」憧れ広島倒し日本一

スポーツ報知
祝勝会で喜ぶ柳田

◆SMBC日本シリーズ2018第6戦 広島0―2ソフトバンク(3日・マツダスタジアム)

 第5戦でバットを折りながらサヨナラ弾を放つなど、今シリーズでも規格外の活躍をした柳田が、スポーツ報知に独占手記を寄せた。

 生まれ故郷の広島で日本シリーズに勝つことができた。最高に幸せ。胴上げはドラフト以来。めっちゃ気持ち良かったし、空がきれいでした。

 シーズン2位からの日本シリーズ。西武の驚異的な打線は守っていても怖かったし、負けた悔しさは忘れてはいけない。でもリーグ優勝だと「勝たないといけない」というプレッシャーがあるけど、今年はCSからいい意味で開き直れた。日本一のチャンピオンフラッグを来年もヤフオクドームに掲げたい。それがモチベーションだった。

 しかも、小さい頃から憧れ、市民球場で見ていた広島との対戦。少年野球でショートだったので野村謙二郎さんに憧れ、ずっとファンだった。プロ入りして2年目のオフ。「FAで広島に行きたい」と言ってしまった…。当時はプロ野球の仕組みが分かってなくて…。FA権を取れるような選手になれるとも思ってもいなかった。

 プロ1年目は自信喪失した。5打数無安打3三振でバットに当たらない。もう無理だと思った。当時は根本的にプロの世界をなめてた。キャンプでは特守でノックを追うのを諦めて、井出さん(現2軍外野守備走塁コーチ)に「オマエ、やめろ!」って怒られた。転機はそのオフ。プエルトリコのウィンターリーグに派遣してもらって。I・ロドリゲス【※1】とかメジャーリーガーにも教わったんですけど、一番は倉野さん(現投手統括コーチ)。ノート提出の課題など嫌々こなしていたら「考え方を変えないと、すぐクビになる」と叱られ、練習への意識が変わった。

 一昨年のオフ。実は、ポスティングでのメジャー挑戦の話も球団とさせてもらった。ホークスは認めていないし、「ここで頑張ってくれ」と諭された。昨年オフには、自分を信頼して3年契約も結んでもらった。ホークスにはここまで育ててもらった恩がある。今は、その期待に応えたいという気持ちしかない。

 ムネさん(川崎宗則)、見てくれていますかね。CS最終Sのヒーローインタビューや、ビールかけのあいさつで「チェスト!」【※2】って。急に退団が決まって【※3】驚いたし、寂しかった。「ギータ」の名付け親でもある。CSの途中くらいからタイムリーが出るたびにみんなで「チェスト!」って盛り上がっていたんですけど「ムネさん、元気でやってますか」っていう思いもあってやらせてもらいました。

 不振で、打席で力が入っていると、ムネさんはいつも「リラックス」って言ってくれた。それは今も心掛けているし、実は打席でのアプローチの仕方、スイングの仕方とか見てまねていた。脱力して、あとはボールを上にかち上げる―。するとボール球は振らなくなるし、甘く入った球を捉えられるようになった。今年は自己最多の36本塁打を打ったけど西武・山川は47本。山川と競えるように、来年は45本は打ちたい。

 選手会長ですが、あんまり責任を感じていない。それが僕のダメなところ。振り返れば小久保さんは違った。「お前らは自分の結果だけ求めてやれ。チームの勝敗の責任は俺らのせい」と若い頃に言われた。若い選手がどんどん出てきて結果を求めてがむしゃらにやれる環境を作ることがチームには一番いいこと。だから意識して変わっていきたいと思う。(ソフトバンク外野手)

【※1】主にレンジャーズで活躍し、昨年に米球界殿堂入りした伝説の強肩捕手

【※2】川崎の故郷、鹿児島で用いられる気合のかけ声。「いくぞ」「やるぞ」のように使われる

【※3】自律神経系の病気回復に専念するため今シーズン開幕直前に退団を表明。本人の希望で自由契約に

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