【広島】フランスア&バティスタがカープアカデミーの秘密明かす

スポーツ報知
お互いに19年の活躍を誓ったフランスア(左)とバティスタ

 2018年のセ・リーグは、広島が球団史上初の3連覇を独走で成し遂げた。巨人に移籍した丸と、4番の鈴木が打線をリードし、投手陣では大瀬良が自己最多の15勝で最多勝に輝いたが、ドミニカ共和国のカープアカデミーから来日したバティスタとフランスアも不可欠の戦力として大きく貢献した。貴重な才能の原石を送り込むアカデミーの秘密とは? 2人が対談でその一端を明かした。

 ―フランスアは8月にプロ野球記録の月間18登板

 フランスア(以下フ)「記録も作れてモチベーションも上がった。すごくうれしい」

 ―バティスタは自己最多の25本塁打だ

 バティスタ(以下バ)「去年に比べて日本の攻め方をちょっと覚えた。ミートポイントも良くなったね」

 ―カープアカデミーに入った経緯は

 フ「社会人チームの一員としてカープアカデミーと対戦したんだ。その時にアカデミーの人が、テストを受けたらと言ってくれた」

 バ「カブスのアカデミーにいた14年にカープアカデミーのテストを受けた。でも、体ができていなくて、落ちた。翌年にスカウトから連絡があって、チェックしてもらったんだ。正式なアカデミー生になるまでは、さらに半年ぐらいかかったけど」

 フ「僕も最初の3か月はテスト生扱いのまま。いつ契約してもらえるか分からなかった。時間がかかって精神的にきつく、辞めたいと思うこともあったよ」

 バ「我慢できずに逃げ出す仲間もいた。『家に忘れ物を取りに行きます』と。でも帰ってこない(笑い)」

 ―練習は

 フ「向こうの練習もきついけど、日本に比べたら楽。ただ、途中休憩がないのがつらかった。アップ、キャッチボール、ランニングと、休む間もなく次々とメニューをやるから」

 バ「だいたい午前10時前後から練習を始めて、午後1~2時ぐらいまでかな」

 ―練習後は

 フ「用事があるならいいけど、遊びに行くための外出は禁止されている。コンビニ、買い物に行きたいなら、許可書を出さないといけない」

 バ「僕はアカデミーの近くに実家があったから、たまに帰っていたけど」

 ―日本語の勉強は

 バ「ちょっとだけ向こうで勉強した。日本から留学している大学生が毎年来る。大体、週に2、3回。でも、僕は日本に来てから本格的に勉強し始めた」

 ―日本での苦労は

 フ「日本の練習がきついイメージはあったから、大丈夫だった。困ったのはゴハン。今でも苦手が多い。うどんが駄目なんだ」

 バ「僕はやっぱり練習がきつかった。日本に来て初めて、1時間連続でマシンを打つのをやった。キャンプの時は琢朗さん(石井打撃コーチ=現ヤクルト)が1日1000スイングをノルマにして。手がマメだらけになったよ」

 ―日本の他球団にもカープアカデミー出身者がいる

 フ「巨人のメルセデスとは一緒に練習していたし、一生懸命やっていたのも知っている。だからうれしい。これからもどんどん仲間が来日したらいいね」

 バ「もっとうれしいのは同じ広島でやること。向こうで頑張っている中にはもっといい選手がいるし、どんどん引っ張ってほしいね」

 ―将来の夢は

 バ「日本でプレーし続けること。こっちでずっとプレーしたい」

 フ「今はここで活躍することを目指している。でも米球団が自分を評価してくれて、カープも許すなら分からない。自分がコントロールできることじゃないし、まずはこっちで頑張るよ」

 ◆ドミニカ共和国カープアカデミー 外国人選手の発掘、育成のために広島が約6億円の資金を投じ、1990年11月に開校。首都のサントドミンゴから東へ約80キロ離れたサンペドロ・デ・マリコス郊外にある。グラウンド3面、ブルペン、室内練習場、夜間練習室、クラブハウス、食堂、娯楽室などが完備された選手寮を併設。一時は運営費の圧縮から投手育成だけに絞った時期もあったが、2012年から再び強化に着手。14年の改修工事を経て現在は契約選手5人、練習生15人が在籍する。主なOBは95年に15勝を挙げたチェコ、96~97年に在籍し、米大リーグ・ヤンキースなどでも活躍したソリアーノら。長身で手足が長く、身体能力に優れた選手を重視。真面目に練習に打ち込めるかなどの性格面も考慮し、契約を判断する。

 ◆サビエル・バティスタ(Xavier・Batista)1992年1月18日、ドミニカ共和国生まれ。26歳。サンタルシア中高から米カブスのマイナーチームを経て、2015年カープアカデミー入り。16年3月に広島の育成選手となり、昨年6月に支配下契約を結んだ。昨年12月にチャベリ夫人と結婚し、今年8月21日に長女が誕生。2年目の今季は99試合で打率2割4分2厘、25本塁打、55打点。189センチ、107キロ。右投右打。

 ◆ヘロニモ・フランスア(Geronimo Franzua)1993年9月25日、ドミニカ共和国生まれ。25歳。セナペック高から米アストロズのマイナーチームを経て、2014年からカープアカデミー練習生。16年に四国ILの高知に派遣され、14試合に登板した。今年3月に広島と育成契約を結び、5月に支配下登録。8月に2リーグ制下の日本記録に並ぶ月間18試合登板を果たした。47試合で3勝4敗1セーブ、19ホールド、防御率1・66。186センチ、110キロ。左投左打。既婚。

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