【阪神】アナログで戦う藤原崇起オーナー、野球は精神力に技術力に運も

スポーツ報知
今季の抱負を語った藤原オーナー

 昨年12月に阪神タイガースのオーナーに就任した阪神電鉄・藤原崇起会長(66)がスポーツ報知の単独インタビューに応じた。49歳でバイクの免許を取得した自称・アナログ人間は、現場ファーストで矢野燿大監督(50)を支える覚悟を明かした。(取材・構成 島尾浩一郎、長田亨)

 ―矢野監督は1年目から優勝を目指すと宣言している。

 「もちろん目指してもらわないといけません。しかし、最初の年なので皆さんには温かいご声援をお願いします」

 ―野球人気、阪神人気はこれからも続きそう?

 「今は自動車でも自動運転の時代で、家でもAIスピーカーに向かって話すと、お風呂が沸いたり、テレビがついたりと、人間のすることを非常に簡略化してくれている。じゃあ野球はというと、それの対極にある。デジタルで戦うのでない。アナログで戦う。精神力であったり、自分自身で磨いた技術力であったり、予測できない運、不運もある。生活がデジタル化されたものに変わってくる中で人間性として残るものがスポーツ、野球だと思いますので」

 ―人間味あふれる選手が増えれば、ますます面白くなる。

 「だから喜怒哀楽を表してくださいと矢野監督が言っている。グラウンドで感情をあらわにするということは自分の思いをぶつけるということ。若い人たちが内に秘めたものを表現し、そして高みに持って行く。矢野監督は非常に素晴らしい言い方をしている」

 ―甲子園の未来像について聞きたい。究極プランとしてドーム化は?

 「まだまだ(気温が)暑くなるとそういう話が出てくるのかもしれないけど、2009年にボールパーク(大改修)としてつくったばっかり。と言っても、もう10年ですけど。それに高校野球のことも考えないといけない。確かにドームにするかどうかという議論は、改修前にはいろいろありましたけど」

 ―ドーム化は議論されたが実現しなかった。

 「みんないろいろ考えますから。コストや場所の問題、つくっている間、どうするんだというのもある。それと、高校野球の皆さんが使いやすいということを我々としては守っていく必要がありますから。スコアボードの形もいろいろ話し合われた。あの形を残して、伝統ある甲子園のイメージを残したほうがいいとなった」

 ―ホームランを増やすため、ラッキーゾーンを復活するなど球場の縮小化は。

 「これは、チームとフロントが議論をしてということでしょうけど、甲子園は高校生の皆さんもプレーしますので。高校生のときにラッキーゾーンをなくして、プロのときにだけ、とできません。そら、意地でもできません。私もそれ(縮小化でホームラン増)がどういう効果を生むかというのは、知識としてはないので、そのあたりは今後、監督中心にチームとフロントが議論するのかもしれませんね。ただ、付けたり外したりするのは節操がない」

 ―本業では現場を大事に過ごしてきた。

 「現場一筋です。現場人間です。みんなで一緒に仕事しているという一体感がありますよね」

 ―息抜きや趣味は?

 「近所の川の源流を見に行こうと、歩いて源流を探しにいったりだとか。家の前が海で、今度はカヌーをやりはじめた。それが40代ぐらい。そのあと49歳でオートバイの免許を取った。それから十何年、オートバイで遊んでいた。今でもオートバイに乗りたいなと思いますね。ですからデジタルよりアナログが好きなのかもしれません。オートバイでなく、車ではダメですかというとダメです。ワインディングロードで風がない。体が傾かない」

 ―目指すオーナー像は?

 「新米ですからね。選手とかコーチの皆さんと野球の知識は雲泥の差。分かることと言えばマネジメントみたいなところ。基本的なところはチーム、フロントが一生懸命、とにかく話してもらう。これが私がタイガースにまずは望むところですね。その大筋を聞いて分からないことはないと思っている。それとバックアップするときは当然バックアップしないとオーナーじゃないでしょうね。そういうふうに思っております」

 ◆藤原 崇起(ふじわら・たかおき)1952年2月23日、兵庫県生まれ。66歳。大阪府立大を卒業して、75年に阪神電鉄入社。17年4月から阪神電鉄の代表取締役会長、同年6月から阪急阪神ホールディングス代表取締役を務める。18年12月1日付で球団オーナーに就任した。

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