【楽天】ドラ1位・辰己、被災地訪問で決意「元気や勇気を与えられるように…」

スポーツ報知
慰霊碑の前で手を合わせる楽天の新人選手たち(左から)7位・小郷、5位・佐藤、3位・引地、1位・辰己、2位・太田、4位・弓削、6位・渡辺佳、8位・鈴木、育2位・則本佳(カメラ・高橋 宏磁)

 楽天の新人10選手は15日、11年の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・名取市の閖上(ゆりあげ)地区などを訪問した。ドラフト1位の辰己涼介外野手(22)=立命大=は、改めて野球ができることへの感謝を口にし、被災地に元気を届けると誓った。

 校舎の屋上で、辰己は思わず言葉を失った。震災発生から約7年10か月。発生前の写真と、目の前に広がる景色は全く違っていた。建物の数は当時よりも大幅に少なく、大半はいまだに更地のまま。工事車両が頻繁に往来する中で取材に応じると「被災前の写真と比べて、全然違った。ここまで何も無くなってしまうんだなと。言葉にできなかった」と神妙な面持ちで語った。

 閖上地区は700人以上、閖上中の生徒は14人が犠牲になった。説明役を務めた閖上小中学校(現在合併)の八森伸校長(56)からは、当時閖上中2年で野球部のエースだった大川駿くん(享年14)が津波の犠牲になったことも聞かされた。冥福を祈り、10選手が慰霊碑の前で手を合わせた。辰己は「僕自身も神戸市出身。仮設住宅で暮らす方も見てきた。何かの縁があって、東北で唯一のチームに入団することになった。元気や勇気を与えられるようにしたい」と決意を新たにした。

 ドラフト3位の引地秀一郎投手(18)=倉敷商=は昨年7月、倉敷市内で西日本豪雨を経験した。下宿先のある倉敷市内は甚大な被害を受け、計5人の部員も被災した。「自分が頑張って、被災された方々に元気を与えられるような選手になりたい。日本一になるために、自分も貢献できたら」と意気込みを語った。

 八森校長は「生きたくても生きられなかった子供たちがいる。震災を忘れて欲しくない。『優勝して欲しい』という思いがある」と語る。希望を託されたルーキーたちが、復興のシンボルとしても活躍を狙う。(高橋 宏磁)

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