【中日】野茂英雄氏“臨時コーチ”に電撃就任…与田監督との縁で代名詞のフォークを伝授

スポーツ報知
ブルペンで投球を見つめる(左から)杉下茂氏、野茂英雄氏、与田監督

 日米通算201勝の野茂英雄氏(50)が2日、中日の沖縄・北谷キャンプをサプライズ訪問し、“臨時コーチ”に電撃就任した。アマ日本代表時代のチームメートでプロ入りも同期だった与田剛新監督(53)との縁で友情出演。松坂大輔投手(38)と旧交を温め、守護神候補の鈴木博志投手(21)には代名詞のフォークを伝授した。

 捕手後方のネット越しに黒ずくめの巨漢が立っていた。ブルペンの鈴木博は「すごい大きい人がいる。誰だろう」と気になりながら投球練習していた。その大男は伊東ヘッドに伴われてマウンドに歩み寄ってきた。顔が分かると、もちろん、見覚えがあった。幼少の頃にメジャー中継で見た野茂氏だった。

 「フォークはしっかり挟んだ方がいい」といきなり助言を受けた。「ビックリしました。日本人でメジャーを開拓した方ですから」。プロ2年目の守護神候補はレジェンドの“電撃登板”に興奮を隠せなかった。

 一本の電話がサプライズ訪問につながった。1月下旬、野茂氏から与田監督に電話が入った。

 野茂氏「沖縄に行きます!」

 与田監督「どうぞ!」

 最初は簡単なやり取りだったが、1日に伊東ヘッドや近鉄時代の同僚だった阿波野、赤堀両投手コーチらと会食し、首脳陣が指導を依頼。野茂氏も非公式の“臨時コーチ”を快諾した。

 野茂氏は午前10時頃に姿を見せると、キャッチボールを終えた松坂と談笑。日米球界で活躍した2人は親交があるという。その後はブルペンで吉見、石川翔、鈴木博らに熱視線。右打者の外角にカット気味の直球を投げる鈴木の球質を見抜き「引っかかる人はこういう風に持った方がいい」と、伝家の宝刀の握り方を伝授した。

 臨時コーチを務める通算215勝の杉下茂氏もブルペンで指導。「フォークの神様」と「トルネード」という夢の共演も実現した。野茂氏は「(私は)大丈夫です」と多くを語らなかったが、与田監督は「30年の付き合いになるけど、日米の両方を知っていて、私自身も勉強になる。選手のために力を貸してもらいたいし、感謝している」と頭を下げた。野茂氏は今季のチーム初実戦となる3日の紅白戦も視察予定。根尾が1軍に不在だが、その穴を埋めて余りあるスターが与田竜に現れた。(表 洋介)

 ◆野茂氏のコーチ 引退した08年に、近鉄時代の同僚の大石監督との縁でオリックスの秋季キャンプで臨時コーチ。09年はテクニカル・アドバイザーに就任し、春季キャンプやシーズン中も指導したが、オフの監督交代で契約満了となった。10、11年は、ソウル五輪でチームメートだった野村監督に要請され、広島の春季キャンプで臨時コーチ。投手陣の指導だけでなく、前田智の打撃投手も買って出た。

 ◆与田監督と野茂氏 NTT東京の与田は1989年に日本代表入り。新日鉄堺の野茂と同僚となった。5月に日本で開催された日本・キューバ選手権大会の初戦で、当時アマ最強と評された打線を与田―潮崎(松下電器、現西武編成グループディレクター)―野茂のリレーで1点に抑えて勝利。同年ドラフトで野茂は8球団が1位競合の末に近鉄に入団。与田は中日から単独で1位指名され、2人は1年目の90年に両リーグの新人王に輝いた。

野球

×