【日本ハム】吉田輝星、初フリー登板もL字形ネットに苦戦「心が折れそうになった」

スポーツ報知
初めて打撃投手で登板する吉田輝(カメラ・佐々木 清勝)

 日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(18)=金足農=が11日、沖縄・国頭(くにがみ)村での2軍キャンプで初めてフリー打撃に登板した。当初は制球が乱れて「心が折れそうになった」ものの、25球を投げて安打性の当たりは1本だけと、改めて潜在能力の高さを発揮。「それなりにいいボールが行った。調子は上がってきている」と、実戦デビューとなる16日の1、2軍紅白戦に向けてまた一段ステップアップした。

 ドラフト2位・野村佑希内野手(18)=花咲徳栄高=との同期生対決。前日には「心を折る」とちゃめっ気たっぷりに挑発していた吉田輝だが、打席の野村とは別の“難敵”がいた。マウンドの前に置かれたL字形の防球ネットだ。

 「自分はリリースポイントが低い方だし、(ネットを置いての投球は)久しぶりだったので…」。いきなり4球続けてボールの後、初めてストライクゾーンに投げた5球目は快音を残してライナーで右前へ。最悪の出足に「心が折れそうになりました」。

 だが、そこからすぐに立て直す適応力はやはり超高校級。「ネットの一部分を目印にした」と、邪魔なはずのネットを利用したり、「カーブは右打者の頭が目印」と、忘れていた実戦感覚も取り戻すと、球種を告げているにもかかわらず13球目には外角直球、14球目にも独特のカーブで見逃しストライクを奪ってみせた。

 終わってみれば約5分間、25球で安打性の当たりは最初の1本だけ。14球がボールで「ボールが多かったので僕の負け」と笑ったものの「まだ全力ではないが、それなりのボールが投げられた。調子は上がってきている」と自己採点はまずまず。この日はスピードガンでの測定をしなかったので球速は不明だが「いい投げ方ができているので、筋肉痛もなくなった」と、着実な上昇カーブを実感している。

 荒木2軍監督も「強いボールが多かった。本人は『コントロールが…』とか言ってるから『誰もいいとは思ってないから大丈夫』って言っておいたよ」と笑顔で合格点。イニング数や先発、リリーフどちらかは決まっていないものの、16日の紅白戦登板に無事、青信号がともった。(星野 和明)

 ◆主な高卒ルーキー投手の初フリー打撃登板

 ▼松坂大輔(西武・99年)
 2月16日に春野キャンプで初登板。小関と垣内に対し計78球で、安打性の当たりは12本。垣内にサク越えを1本許したが、小関のバットを2本折った。
 →25試合・16勝5敗。防御率2.60

 ▼ダルビッシュ有(日本ハム・05年)
 故障などで調整が遅れ、シーズン開幕後の4月29日に鎌ケ谷の2軍施設で初登板。高橋信らを相手に49球を投げ、安打性の当たりは2本。
 →14試合・5勝5敗。防御率3.53

 ▼田中将大(楽天・07年)
 2月9日に久米島キャンプで初登板。打者4人に58球を投げ、安打性の当たりは5本。最速141キロをマーク。
 →28試合・11勝7敗。防御率3.82

 ▼大谷翔平(日本ハム・13年)
 2月21日に2軍の国頭キャンプで初登板。初球から4球連続ボールなど、打者2人に45球を投げ、約半数の21球がボールと制球が乱れたが、安打性の当たりは4本。翌日から1軍に昇格した。
 →13試合・3勝0敗。防御率4.23

(→の後は1年目の1軍成績)

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