【中日】松坂大輔、ファンとタッチで右肩故障…キャンプ離脱も

スポーツ報知
与田監督らと話し合う松坂

 中日は11日、松坂大輔投手(38)が右肩違和感のため、当面はノースローで調整することを発表した。球団によると、数日前に沖縄・北谷球場でファンと接触した際に右腕を引っ張られる形になり、その後、古傷の右肩に異変が生じたという。検査のためにキャンプを一時離脱する可能性も浮上するなど、調整遅れは必至。最悪の場合、3月29日の開幕・DeNA戦(横浜)に間に合わない恐れもある。また、米大リーグ・ナショナルズなど3球団でコンディショニングコーチを務めた友岡和彦氏(47)は再発防止策を訴えた。

 松坂がウォーミングアップを終えたチームメートの輪から突如として離れた。北谷球場の三塁後方。深刻な表情を浮かべ、阿波野投手コーチに右肩の違和感を訴えた。「キャッチボールをやるのは、しばらく時間を取りたいんです」。与田監督も加わった5分間の話し合いを終えると、グラウンド外に移動。ランニング、室内での打撃練習を終え、無言のまま球場を去った。

 アクシデントが発生したのは数日前、ブルペン横の投手陣ロッカーから球場の三塁側通用口に移動している時だった。“花道”に並ぶファンが伸ばす手にタッチで応じながら歩いていたが、そこで右腕を後方に引っ張られるような形になったという。10日もキャッチボールを行うなど様子を見ながら練習していたが、15年夏に手術を受けた右肩は、この日までに状態が上向かなかった。

 この日、初めて報告を受けた与田監督は「(本人も)『うまく治る、痛みが消えるんじゃないか』と厳しくは考えていなかったと思う。悩んだだろうし、かわいそう。不慮の事故という形なんでね」と気遣った。今後の治療についても「これまでに診ていただいた病院、お医者さんがいらっしゃるので、きっちり診てもらうことになる」と説明。キャンプを一時離脱して、関東圏などの病院で治療・検査を受ける事態を想定した。

 今キャンプの松坂は当初からスロー調整。米国永住権の更新手続きのために渡米し、5日からの4日間はチームを離脱。まだ一度もブルペン投球すら行っていない。今回の“故障”で今後の調整に影響が出ることは必至だ。開幕投手の候補にも挙げていた指揮官だが「我々は143試合を見て戦う。今1軍のレベルにない選手を慌てさせることはプラスにならない」と力説。状況次第では開幕ローテーションから外す決断を余儀なくされそうだ。

 自身のサインがネットオークションなどで転売され、球団が公式ホームページで注意喚起する中でも、松坂は「僕が気にしても仕方がない」と快くサインに応じてきた。この日も陸上競技場に移動する際には、近寄ってきた少年に笑顔でサインペンを走らせたほどだ。超人気者ゆえの悲運の故障を、怪物は乗り越えられるか。(表 洋介)

 ◆門田博光のハイタッチ脱臼 1989年9月25日のオリックス・ダイエー戦(西宮)。南海から移籍1年目のオリックス・門田(当時41)は4点を追う3回、左翼ポール際へ31号ソロを放った。本塁に生還し、次打者のブーマーとハイタッチを交わした際、右腕が引っ張られるような形で右肩を脱臼した=写真=。「油断してしまった。いつもは手を合わせる時に力を入れていたのだが…」。顔をゆがめてうずくまり、ベンチに下がって応急処置。外れた関節はすぐに戻ったものの、翌日から8試合欠場。西武、近鉄と三つどもえの優勝争いを展開しており、門田は残り9試合の時点で復帰したが、オリックスは最終的に勝率1厘差の2位だった(優勝は近鉄)。

 ◆今キャンプの松坂

 ▼2月1日 今季から復活した背番号18を披露。「覚悟、責任を感じる」

 ▼同4日 渡米するため都内に移動。

 ▼同5日 米国に出発し、1泊3日の強行日程で米国永住権の更新手続き。

 ▼同8日 午後に球場入りしてキャッチボール。

 ▼同9日 全体練習に合流。室内での打撃練習後は約30分間のサイン会。

 ▼同10日 サブグラウンドでキャッチボール。

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