【中日】ガッツが「おきなわマラソン」参戦!?「完走せえや」のゲキに…

スポーツ報知
完走した小笠原ミニ大は感動のボルトポーズ

 ガッツが17日、中日2軍の沖縄・読谷(よみたん)キャンプをほっぽり出して?、突然「おきなわマラソン」に参戦した。

 午前9時前。沖縄市の沖縄県総合運動公園にガッツが現れた。なぜか野球のユニホーム姿で、胸には「3417」番のゼッケン。現役時代の「2」も「36」も現在の「82」も見事に関係ないナンバーだ。澄ました顔でスタート地点に立ち、号砲とともに駆け出した。「お兄さん、フルマラソンは初めて?」。最初は笑顔で見知らぬランナーに話しかけていた。だがスタートからものの1キロを過ぎると、いつもの苦み走った表情に変わり、口数も極端に減ってきた。

 7日夜に読谷村の宿舎自室でベッドから転落。顔面を強打し、翌日、沖縄市内の病院で「右眼窩底(がんかてい)骨折」と診断された。患部も痛いだろうが、膝や足裏の痛みがもうヤバい。「リタイア」の4文字が頭を支配する。「だりぃな。もういいかな…」。そうつぶやきながら2キロ地点を通過した。

 だが沿道から容赦なく「カントク~!」「頑張れガッツ~!」の声援が送られる。軽く手を挙げて応じる孤高の侍。「何で走ってんの?」「きょう普通に練習があるんじゃないのか」「韓国・ハンファとの練習試合は誰が指揮するんだ」。そんなヒソヒソ声を気にするそぶりもなかった。

 いや待てよ。違う。あれはガッツじゃない。じゃあ誰なんだ。やっぱりアイツか。ソックリ芸人で沖縄・宜野湾市出身の小笠原ミニ大(みにひろ、34)だ。

 「いや違うんですよ」。偽ガッツは問わず語りを始めた。「きのう(16日)読谷に行って、監督にサインを求めるファンの皆さんの列に並んだんですよ」。自身の番が来ると「あした僕、フルマラソンに出場するんです。監督と一緒に走りたいです!」とゼッケンを差し出した。快くペンを走らせた本物の小笠原道大2軍監督(45)は、去り際にひと言「完走せえや」とミニ大にゲキを飛ばしたのだ。なぜか関西弁で―。

 残り40キロ余り。ふとゼッケンに書かれたサインに触れた。すると尽き果てたと思っていた気力がみなぎってきた。「完走せえや」「完走せえや」と指揮官の声が脳内にリフレインする。時には現役晩年の登場曲、スキマスイッチの「全力少年」の調べに乗せて「♪積み上げたもの完走せえや、身に着けたもの完走せえや」と謎の歌で自らを鼓舞しながら前に進んだ。

 そしてゴールへ。タイムは5時間51分53秒。1万383人中6267位。あやうく強制終了タイム(6時間)に達してリタイア扱いになるところだったが、見事、16年ぶりというフルマラソンで完走を果たした。「監督のおかげで無事、走り切ることができました。『完走せえや』の約束を守り抜きました。リタイアなんてしようものならガチで怒られる。何なら『もうモノマネねするな』と言われかねない。ホッとしました。ゼッケンは家宝にします」。タレントとしてはリタイア寸前の偽ガッツ。完走をきっかけに、芸もひと皮むけるだろうか。

 ◆中日・小笠原道大2軍監督「おめでとうございます。走り切ったのは彼の実力。(5時間51分?)タイムは関係ない。完走したことに意義があるんですよ。ゼッケンを家宝にするとまで言ってくれるとうれしいですね。これからも頑張ってください」

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