勝利のカギは川を見る目と対応力…「第49回報知アユ釣り選手権オーナーカップ」決勝大会の展望

スポーツ報知
静岡・狩野川をホームにする井川選手は東の優勝候補筆頭だ

 アユ釣り界の実力者が勢ぞろいする頂上決戦、「第49回報知アユ釣り選手権オーナーカップ」決勝大会は3、4日に岐阜・益田川で行われる。伝統ある戦いを制して島啓悟名人への挑戦権を手にするのは誰か。益田川を知り尽くす、競技委員長の天野勝利さんに展望を聞いた。

 昨年に続いて飛騨の名川、益田川が大一番の舞台だ。大アユが釣れる川として全国に名をとどろかせ、出場選手も竿を出すのを心待ちにしている。

 今季は6月24日に解禁。例年より1週間、解禁日を遅らせた効果もあり、いきなり20センチ級が強い引きを味わわせてくれた。期待通りの滑り出しを切ったが、6月末からの豪雨で一変。天野さんは「今まで味わったことがないような雨。川が変わった所もある」と振り返った。瀬がトロ場に、チャラ瀬が荒瀬に、平瀬が川幅いっぱいのチャラ瀬に変わってしまうなど、以前の川相とは異なる場所が点在している。

 梅雨明け後は一転、カンカン照りの日が続いた。「この天候では川の回復は早いだろう。新アカが全面的に付けば状況は変わる」と天野さんは予測。また、20日前後には2次放流が行われた。20~30グラムの個体を当初の予定より多い合計1250キロ、本流の友釣り専用区に放った。つまり、初期放流の20センチを超える良型と16センチ前後の2次放流の魚が、混在。決勝大会では、どういう魚がどういうポイントに付いているのかを“見極める目”が、釣果を左右するに違いない。

 天野さんは「今年の益田川は難しいよ」と、いたずらっぽく笑う。川相が変化したことによって、従来のセオリーが必ずしも通用するとは限らない。さらに、大水で“リセット”された後は日々、状況が変わっている。そこで、もう一つのキーワードとして“対応力”を挙げたい。技術的な引き出しの多さに加えて、フットワークを駆使した機動性がカギになるはずだ。

 注目選手の筆頭は井川弘二郎選手だ。第46、47回大会と2年連続で準優勝。実力は申し分ない上に年齢も32歳で勢いが期待できる。東の筆頭が井川選手なら西の一番手は高橋祐次選手だ。かつて7期連続で名人位に就き、ただ一人、名人の座に返り咲いたレジェンドプレーヤー。また、昨年大会準Vの木全崇博選手、過去2度も益田川での決勝大会を制した永島寛選手ら地元の実力者も注目だ。

 大会会場は、飛騨川公園に本部を置き、萩原町を中心にエリアを設置する予定。島名人への挑戦権を争う熱い戦いから、今年も目が離せない。(小谷 竜一)

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