【ブルーリボン賞】助演女優賞・斉藤由貴、新人賞以来32年ぶり「ものすっごくうれしくてたまらない」

スポーツ報知
喜びをかみしめる斉藤由貴(カメラ・小泉 洋樹)

 東京映画記者会(報知新聞社など在京7紙)が主催する「第60回(2017年度)ブルーリボン賞」が23日、決まった。作品賞は報知映画賞と同じく「あゝ、荒野」(岸善幸監督)で、ユースケ・サンタマリア(46)が助演男優賞に輝き2冠。助演女優賞は「三度目の殺人」(是枝裕和監督)の斉藤由貴(51)で第28回(1985年度)の新人賞以来32年ぶりの受賞。主演男優賞には阿部サダヲ(47)、主演女優賞に新垣結衣(29)が選ばれた。授賞式は2月8日、東京・内幸町のイイノホールで行われる。

 「“このタイミング”で賞をいただけることが…。淡々と話していますが、ものすっごくうれしくてたまらない」。瞳に涙があふれそうだった。斉藤は受賞インタで自ら、猛バッシングを受けた昨夏の不倫騒動に触れた。この約半年、自身を省み、“傷”を家族で乗り越えていた。85年新人賞以来の受賞に、3人の子供たちは「やったじゃん!」と喜び、夫は、昨年11月に報知映画賞の候補に挙がった時点で「ノミネートされただけでもお祝いだ」と焼き肉を食べに連れて行ってくれていた。

 「運命の不思議な采配というか。(賞に)励ましていただきました」。広瀬すず(19)と母子を演じた「三度目の殺人」での出演シーンはわずか。殺された夫の妻を狂気をはらむ不気味な芝居で、強烈な印象を残した。同部門で一緒にノミネートされた広瀬との“合作”でできたことを強調する。

 「すずちゃんのおかげ。彼女の演技にすごく吸い込まれて。まなざしを見ながら、深い洞穴に入ったようになった。役作りはなく、共鳴し合い、高まって生まれたもの」

 天才肌の女優だが、志願してこの世界に入ったわけではない。いじめられっ子だった。多感で神経質な娘を心配した親が「何か違う興味を」と芸能界にいざなった。役に没頭すると、撮影カメラも全て消えてしまう感覚になるという。「私は本来全然おもしろくない人間。演じることで人としての輪郭がはっきりしていく」という言葉が、天職であることを証明する。

 「あのう、もし可能なら…。(授賞式を)両親に見せてあげたい。でも私、泣いちゃうかも」。半年前、しょうすいした姿でフラッシュの集中砲火を浴びた。2月8日は俳優の一握りしか手にできない栄えある受賞者としてスポットライトを浴びる。心配させ続けた両親に、「演じる」原点をつくってくれた感謝の気持ちを込めながら。(内野 小百美)

 ◆斉藤 由貴(さいとう・ゆき)1966年9月10日、神奈川県生まれ。51歳。84年第3回「ミスマガジン」グランプリ。85年フジテレビ系「スケバン刑事」主演、翌年NHK朝の連続テレビ小説「はね駒」ヒロイン。歌で「卒業」「夢の中へ」がヒット。近作に大河ドラマ「真田丸」「お母さん、娘をやめていいですか?」(ともにNHK)など。94年結婚、1男2女がいる。

芸能

×