ゆりやんレトリィバァ“女芸人No.1”の原点

スポーツ報知
R―1ぐらんぷり優勝の夢を語った、ゆりやんレトリィバァ(カメラ・小泉 洋樹)

 ピン芸人のゆりやんレトリィバァ(27)は、昨年2月「NHK上方漫才コンテスト」でピン芸人として初めて優勝し、12月に初開催された「女芸人No.1決定戦 THE W」で頂点に立った。ほんわかした雰囲気やぽっちゃりボディーに目を奪われがちだが、実は関大出身のエリート芸人。英語やピアノを取り込み、“誰も傷つけない”多彩な芸風で笑いを巻き起こす、ゆりやんの原点とは。

 身長159センチ、体重100キロ超の体でキレキレのダンスを踊る。愚痴を言う“ドラえもん”、アカデミー賞授賞式のスピーチで英語に関西弁を織り交ぜる女優など、ゆりやんは変幻自在のキャラクターで爆笑をさらってきた。

 昨年、わずか芸歴5年で636組が参戦した「THE W」を圧勝し、初代女王に。大阪・なんばグランド花月で初の単独ライブ、CM出演、海外映画の声優や歌手デビューも果たした。東京の街中でも、一発ギャグの「調子に乗っちゃって」をせがまれるようになったという。

 1990年11月、奈良県中部に位置する吉野町に次女として生まれた。「日本のさくら名所100選」に選定された吉野山で知られるのどかな町。各学年1クラスで12人ほどの小学校に通った。当時、最初に憧れたのは、「モーニング娘。」だった。「加護ちゃんが同じ奈良県出身で、かわいくて。でも小学生ながら、見た目で難しいかなというのが分かってきて…」と苦笑いで振り返る。

 そんなゆりやんを救ったのがお笑い番組「よしもと新喜劇」。小2の頃、家族で見ているうちに「山田花子さん、島田珠代さんたちのギャグが面白すぎて、やりたいなと思った」。放送翌日は、いつも同級生と新喜劇のものまねで盛り上がった。

 中学時代は、ギャルに憧れた。「ギャルの方がクラスの中心にいるし、いいなと思って。ただ誰もギャルのグループに入れてくれなかった」。当時、はやった「細まゆ毛」にしたら親に怒られた。学校では人気者どころか、いじめのターゲットに…。

 現在、27歳にして男性との交際歴は「ゼロ」。高校3年時には1学年下の野球部員に片思いもした。「その人に会うために夏休みにわざわざ学校に行って、勉強するフリをして野球の練習を見てた」。だが秋頃、部員に別に好きな人がいると分かり、「勝手に見返そうとして大学を目指した」。当初、卒業後の吉本総合芸能学院(NSC)入学も視野に入れていたが、急きょ大学進学を決意した。

 “失恋”の怒りをバネに、関大に現役合格。ダンス経験はなかったが、約200人のストリートダンスサークルに入った。奈良の実家から大学まで往復6時間。夜の練習にはあまり参加できなかったが、友人に恵まれた。「英語が好きな子がいて、私も英語が上達した。今もよく会っていて、友達のお陰でネタもできている」

 大学4年時、アルバイトの貯金をはたきNSC入り。2013年2月の同期200組ほどで行った「NSC大ライブ」で優勝し、首席で卒業した。2歳上の姉は堅実な公務員。別世界で生きる姉妹を両親は温かい目で見守っているという。

 体重管理には甘さを見せるが、芸に関してはストイック。同じ女ピン芸人で活躍中のブルゾンちえみ(27)、横澤夏子(27)、平野ノラ(39)らについて聞くと、目をキリッとさせ「みんなすごいと思いますけど、ライバルはいないです。自分が面白くならなきゃダメ」と言い切った。

 女ピン芸人の“顔”だけでは、満足できない。今年最大の目標は、ピン芸人日本一決定戦「R―1ぐらんぷり2018」制覇だ。昨年は「NHK上方漫才コンテスト」優勝の4日後、R―1決勝で敗退した。「負けて終わりやと思った。3大会連続で決勝に出ていて優勝したいという思いが強すぎた」と、悔しさをにじませる。今年は1月27日に準々決勝進出。今春の決勝を目指し、「とにかく優勝しかない。でも緊張しないように落ち着いていきます。落ち着いていきや~」と、おなじみのギャグを交えながら気を引き締めた。

 ◆ゆりやんレトリィバァ 1990年11月1日、奈良県吉野郡吉野町生まれ。27歳。2009年3月、奈良県立高田高卒業。12年4月、関西大学文学部4年時に吉本総合芸能学院(NSC)に大阪校35期生として入学。15、16年の「R―1ぐらんぷり」決勝で3位。17年2月「NHK上方漫才コンテスト」優勝。同年12月「女芸人No.1決定戦 THE W」優勝。芸名は高校時代のあだ名「ゆりやん」とゴールデンレトリバーをモチーフにしたサンリオのキャラクター「ポムポムプリン」から付けた。特技はダンス、ピアノ、水泳。

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