朝ドラ新ヒロイン永野芽郁「半分、青い。」の役名に運命を感じた

スポーツ報知
連続テレビ小説「半分、青い。」のヒロイン・鈴愛を演じる永野芽郁(カメラ・橋口 真)

 女優の永野芽郁(18)が、4月2日スタートのNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(月~土曜・前8時)のヒロイン・楡野鈴愛(にれの・すずめ)役を演じる。北川悦吏子さんのオリジナル脚本。故郷の岐阜と東京を舞台に、失敗を恐れない鈴愛が、七転び八起きで高度成長期の終わりから現代までを駆け抜け、一大発明を成し遂げるまでを描く。オーディションを勝ち抜き、2366人の中から大役を射止めた永野が、今作への思いを語った。

 人懐っこい語り口、愛らしい笑顔。天真爛漫(らんまん)な美少女がこの春、お茶の間を照らす。

 「みんなが『芽郁ちゃん、鈴愛のままだね』って言ってくれます。何となくだけど、元々似ていたのかな~」とはにかむ。演じるのは大胆なひらめきで即行動、失敗しても「やってまった」と明るくやり過ごすヒロイン鈴愛。

 「ザックリ言うと、『明るい』『元気』『周りの人を楽しませようとする』。系統は一緒だと思う。勢いがすごすぎて圧倒されっぱなしのキャラクターだけど、この子といたら毎日が楽しいし、嫌なことも忘れてしまう。前向きさに引っ張られて、ポジティブになるだろうなって思う」

 身ぶり手ぶりを交えて話す姿は、等身大の鈴愛そのもの。劇中から飛び出してきたような錯覚さえ受ける。

 小学生の時に吉祥寺でスカウトされ、芸能界入りした。ファッション誌「ニコ☆プチ」「nicola」でモデルを経験。並行して女優の活動も始め、15年の映画「俺物語!」(鈴木亮平主演)のヒロイン役で注目される。最近はカルピスウォーター、UQモバイルのCMで人気だ。

 朝ドラのヒロインオーディション初参加で、大役をつかんだ。「運が良かった」と謙遜するが、初主演映画「ひるなかの流星」(17年)の役名は「すずめ」。偶然とはいえ、運命を感じずにはいられなかった。

 「この名前にはすごく縁を感じますね。同じ役名だから、もしかしたら…と思いながら、オーディションを受けていました」

 鈴愛は小学3年生の時、左耳の聴力を失う。それでも、雨音が片側しか聞こえないことを面白がったり、ユニークな感性で乗り越えていく。「(普通なら)すごく傷つくと思うし、苦しいし、背負ってしまう。でも、それを感じさせない女の子。就職の時に壁に当たるけど、視聴者の方が、前向きな気持ちになれるように表現していきたい」

 クランクイン前、子役の矢崎由紗(8)と失聴者の話を聞き、疑似体験した。「失聴されている人の気持ちは、100%は理解できない。でも、自分自身が一番の理解者になって、寄り添うところまではいきたい」。岐阜ロケ期間中、本番前まで左耳に耳栓をつけた状態を保ち、感覚を染み込ませた。「全く聞こえないわけじゃないけど、気持ち的な部分で。人の話を聞き直す時、左耳を前に出して『何ですか?』と聞いていたのが、意識し始めてから右耳で聞き直すようになった」

 昨年10月末に岐阜ロケでクランクインした。「ポンポンポンって、気づいたら3月…。あっという間ですね。岐阜に行っていたのが1年ぐらい前に感じる。疲れました~。でも、大丈夫! 死にそうなぐらい疲れてはいないから(笑い)」。緊張や重圧もあっただろうが、明るく笑い飛ばす。現地の環境が十分すぎるほどエネルギーを与えていた。

 「岐阜には東京にない優しさ、温かさがあった。緩くまったりとしていて、私を優しく包んでくれるような感覚。『急がなきゃ』『急がなきゃ』みたいな焦りはなかったし、『これ食べてね』って栗きんとん、えびせん、五平餅を持ってきてくれたり。地域に住む方々が支えてくれたからこそ、のロケでした」

 鈴愛をそばで励ますのが、同じ日に同じ病院で生まれた幼なじみの律(佐藤健)。佐藤とは映画「るろうに剣心」(12年)以来の共演だったが、この岐阜ロケで「(互いの)目を見たら律と鈴愛になれるまでになった」と胸を張る。「相手のリズムが分かってきて、話をしなくても、こうするだろうなというのがつかめてきた。(劇中同様に)生まれた時から一緒にいたと、錯覚できる存在になりました。一気にではないですよ。徐々に、徐々にです。4か月間という過ごした時間の長さが大きいのかな」

 律は物心ついた頃から鈴愛を気にかけ、彼女を守れるのは自分しかいないと、心のどこかで思っている。「恋愛関係かと言われれば、そうではない気がする。男女の友情でもない。私も体感したことがない不思議な関係性。表現するのは難しいけど、あまり深く考えすぎずに演じられたら」

 バブル期は生まれる前の時代。実年齢を大きく超えた役どころも、初めての経験。母親が教科書代わりになっている。「母がその年代に近いので、当時の話を聞いている。母の言葉は響きますね。何も知らない私としては、単純に興味ばかり。何であんなに肩パット入っているのとか、パッツパツなボディコンで街を歩くのとか(笑い)。見た目が違いますよね」。バブル期を代表するディスコ・マハラジャで踊るシーンも登場予定。「お母さんに『今日踊ったんだよ』『扇子振ったんだよ』って話をすると、『懐かしい』と言っている。最初は、私も行ってみたいと思ったけど…、現代の落ち着いた感じの方が合っているかな~」

 半年間続くスタジオ撮影。永野は「学校に行っている感じ」と例えた。「やる前は『ものすごく大変』『しんどいよ』『絶対にやばいから』と言われていた。すごく構えて入った分、思ったほどでした。生活のリズムが一定しているので楽かなと思う。毎日、『おはようございます』と言って、(入館証を)ピッとやっているのが不思議。あと半年間ですよね? このままいける気がします」

 放送終盤の9月24日には誕生日を迎える。「19歳か~。10代最後ですもんね。早いな~。ただ、10代だから許されることはいっぱいあると思う。(今年1年間は)そこに甘えて、たくさんのことを楽しんでやりたい」と目を輝かせた。

 「目標を作ると、達成した時に燃え尽きてしまうから」。あえて目標を立てずに、がむしゃらに撮影に挑んでいる。「鈴愛は周りが応援したくなるような女の子。そこを一生懸命に演じたい。鈴愛を見て、『今日も一日頑張ろう』『人のために何かしてあげよう』って優しい気持ちになってもらえたらうれしい。撮影が終わった時に、『代表作になった』と言えるように頑張っていきたいです」(ペン・加茂 伸太郎)

 ◆琴、三味線、ドラム…趣味がいっぱい

 順調な撮影ぶりからか、永野は「最近、ストレスを感じないな~。発散するものがないんです」と表情を緩ませる。

 1月にリフレッシュ方法を聞いた際には「スタジオを借りてドラムを叩くこと」だった。「同じ事務所の方のライブを見に行った時に楽しそうに音楽をしている姿を見て、ドラムに目覚めちゃった(笑い)。ずっとリズムを刻んでいるから難しいけど、(バンドの)主。下手くそだけど、叩くとスッキリする」

 クランクアップ後は「書道や生け花、習い事をいっぱいしたい」と意欲。小学生の時に琴、高校1年時に三味線を学ぶなど多趣味な一面も持つ。「日本の楽器って格好いい。それをキレイに弾けたらステキだと思う」と語った。

 ◆「半分、青い。」 大阪万博翌年の1971年、岐阜県東部の町の小さな食堂に、女の子・鈴愛(永野)が生まれる。野山を駆け回る元気な子だったが、小学3年生の時、病気で左耳を失聴してしまう。高校卒業後、持ち前のユニークな発想力を生かして少女漫画家を目指し、バブル真っただ中の東京に出る。師匠にしごかれ、アシスタント仲間と修業に打ち込むが―。主題歌は星野源の「アイデア」。

 ◆永野 芽郁(ながの・めい)1999年9月24日、東京都生まれ。18歳。小学生の時、吉祥寺でスカウトされモデルデビュー。「ニコ☆プチ」「nicola」の専属モデルとして活動。2016年から雑誌「Seventeen」モデル。15年映画「俺物語!」のヒロインに抜てき。16年「こえ恋」でドラマ初主演。17年「ひるなかの流星」で映画初主演。趣味は写真を撮ること、ギター、ランニング。特技はスポーツ、ものまね。身長163センチ。血液型AB。

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