里見女流名人、奨励会退会の心境を初告白「今後は何かを与えられる人に」棋士編入試験は目指さず

2018年3月27日22時59分  スポーツ報知
  • 満開の桜の咲く庭園で談笑する里見香奈・女流名人(左)と加藤一二三九段

 将棋の里見香奈女流名人(26)が27日、棋士養成機関「奨励会」を年齢制限のために退会した現在の心境を初めて告白した。

 晴れやかな表情、朗らかな口調だった。「私は将棋を取ったら何も出来ない人間です。やはり将棋が好きなので、将棋から離れることは出来ません。離れたとしても戻って来てしまうと思います」。将棋への変わらぬ愛情を口にした後、今後についての考えを語った。「再スタートの気持ちです。今までは与えられてばかりいましたけど、今後は将棋を通して何かを与えられる人になりたいです」。ファンとの交流など、今までは奨励会員としての立場上、実現できなかった普及活動を積極的に行う希望を明かし、可能性として残る四段(棋士)昇段の夢を追い続ける考えについては「今の段階では全くありません」と述べた。

 里見は「女流棋士」として女流5冠を保持する傍ら、男性と同じ「棋士」を目指して奨励会三段に在籍していたが、30人以上の強者が参戦し、半年間で原則2人のみしか昇段できない「三段リーグ」で四段昇段を果たせないまま、今月3日に年齢制限の26歳を迎え、退会した。

 奨励会での挑戦を終えたことについて「19歳で入会した時、米長先生(当時の日本将棋連盟会長だった故・米長邦雄永世棋聖)やスポンサーの皆様に、自分にとっていちばんいい環境を与えて頂きました。今でもすごく感謝しています」と述べながら「退会してしまったのは自分の努力不足でしかありません。結果が全ての場所を去らなくてはならないのは、努力不足でしかないです。まだ整理が付いていない部分はありますけど、もう少し出来たのにと考えていてもしょうがないので。でも、奨励会にいた期間は、全てを将棋のために生きるためにはどうしたらいいんだろう、と考え続けた期間でした。将棋しかして来なかった私ですけど、これからは新しいことに挑みたいと思っています」

 三段リーグを突破して棋士になる夢は絶たれたが、里見が女性初の棋士になる可能性が完全にゼロになったわけではない。女流棋士として男性棋戦に参戦し(多くの男性棋戦は一部のトップ女流棋士に参加資格を与えている)、10勝以上の白星を挙げ、なおかつ勝率6割5分以上の成績を残した場合は、棋士編入試験(新四段5人を相手に5戦3勝以上で合格)の受験資格が与えられる。里見の力ならば可能性は十分あるという声は棋士間やファンの間でもあったが、残される道について「応援していただいている方々から(編入試験について)言っていただくこともありますけど、自分の夢は三段リーグを突破して棋士になることでしたから。三段リーグにいる間も、退会した今も(編入試験について)考えたことはありません」と述べた。

 挑戦に一区切りが付いたことで、新しい領域を見据え始めている。「普及活動やイベントへの参加など、今は将棋界に貢献したい気持ちが強いです。今までは他の女流棋士の方々に任せてしまって自分では何もして来られませんでしたけど、これからは誰かに喜んでもらえるようなことを自分でやっていきたいと思います。新しい目標を見つけて、違うことに挑戦して人間として成長したいです」

 明治記念館(東京都港区)で行われた第44期女流名人就位式への出席した後、今まで見せたことのないような笑顔を終始浮かべたまま未来について語った。(北野 新太)

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