空前の将棋ブームでマンガも熱い!魅力は勝つか負けるか弱肉強食の対比

スポーツ報知
監修を担当した「将棋指す獣」のページを開く瀬川晶司五段

 空前の将棋ブームの中、将棋マンガにも熱視線が注がれている。過去には「月下の棋士」「3月のライオン」などの名作が誕生し、最近も3作の連載が始まった。「月刊コミックバンチ」(新潮社)の新連載「将棋指す獣(ケダモノ)」の監修を務める瀬川晶司五段(48)が将棋マンガの魅力を語ってくれた。

 将棋マンガがすごいことになっている。今春から「将棋指す獣」「紅葉の棋節」「リボーンの棋士」の3作が一挙に各誌で連載開始。瀬川五段は「同時に3つ始まるなんて過去にないことですよね。驚いていますし、うれしいです」と笑顔で語る。

 瀬川五段は「『3月のライオン』前後から将棋マンガが増えてきて、人気の素地が出てきたところに藤井聡太七段が現れた。で、ブームになったことでさらにマンガが増えた、ということなのかなと思います」と読む。

 監修として、盤面制作や棋士や将棋界のディテールについて助言している「将棋指す獣」は、女性初の棋士を目指すヒロインの物語。「作者の方には現実に負けないように、とお願いしています(笑い)」。現実の世界でも女性棋士はまだ誕生していないが、最終段階である奨励会三段に西山朋佳女王(23)が在籍するなど現実味を帯びてきている。「近い将来、現実になると思っていますし、なった場合はさらにブームが巻き起こることは間違いないですよね」

 史上最年少棋士として登場した藤井七段が一気に史上最多の29連勝を記録した活躍は「マンガ超え」ともたたえられた。時々、空想に肉薄するドラマが発生する将棋界だけに、予感も漂う。

 瀬川五段自身も、将棋マンガに大きな影響を受けてきた。「小学生の頃に読んだ『5五の龍』で奨励会の厳しさを知りましたし、マンガの原体験でした。奨励会に入ってからは『月下の棋士』が面白かったですね。帽子かぶって指すなんてありえない…と思いつつ(笑い)。最近では『3月のライオン』は棋士の人間ドラマがしっかり描かれていて、素晴らしい作品だと思います」

 なぜ、将棋とマンガは相性がいいのだろう。「勝つか負けるか、0か100か、という弱肉強食の対比はマンガ向きなんだろうな、と思います」

 マンガのみならず、将棋はアニメ、ライトノベル、小説とマルチメディア化が進んでいる。サラリーマンから棋士に転身した半生をつづった自伝「泣き虫しょったんの奇跡」が松田龍平の主演で映画化され、9月に公開される。当然、マンガ化も…。「もちろん…読んでみたいです。今、藤井七段の影響もあってブームになっていますけど、いろいろな形で魅力を伝えて、ファンの方々を放さないようにしないと」。これもまた実現しそうな夢だ。(北野 新太)

 ◆瀬川 晶司(せがわ・しょうじ)1970年3月23日、横浜市生まれ。48歳。安恵照剛八段門下。84年、奨励会に入会。96年の退会後に大学を卒業し、NEC関連企業に勤務しながらアマチュア棋界で活躍。対棋士戦で高勝率を挙げ、2005年に特例で受験した棋士編入試験に合格。通算210勝184敗。

 ◆「紅葉の棋節」監修した三枚堂六段「感慨深い」

 5月から「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった「紅葉の棋節」で監修を務める三枚堂達也六段(24)は「自分も『ジャンプ』のマンガを読んできたので感慨深いものがありました」と感謝。竜王を目指す天才棋士や女性初の棋士が登場するストーリー。「現実でもマンガのような人(藤井聡太七段)が現れて来たので、自分も頑張らなくてはと思います」

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