吉永小百合、平和記念館音声ガイド再録音…「被爆者の声をうけつぐ映画祭」出席

スポーツ報知
「被爆者の声をうけつぐ映画祭2018」でトークイベントを行った吉永小百合

 女優の吉永小百合(73)が14日、東京・練馬区の武蔵大江古田キャンパス大講堂で行われた「被爆者の声をうけつぐ映画祭2018」で、出演映画「愛と死の記録」(1966年公開、蔵原惟繕監督)の上映イベントに参加した。

 渡哲也(76)と出演した同作は、終戦後の広島で、原爆症に苦しむ青年と看病する少女を描いたもの。その後も「夢千代日記」(85年)、「母と暮せば」(2015年)で被爆女性を演じ、原爆詩の朗読をライフワークにしてきた吉永にとっては「学校であまり教わらなかった原爆と最初に出会った」という原点の作品だ。

 毎年のように広島を訪れているが、トーク後の記者会見では西日本を襲った集中豪雨で一時、孤立状態に陥った呉市についても触れた。戦争と原爆を描いてロングランヒットし、吉永も深く感動したというアニメ映画「この世界の片隅に」のヒロインの嫁ぎ先が呉市だった。「美しく、素晴らしい呉の被害を見聞きすると、本当に悲しい。私たちができることをしていかないといけないと思います」。具体的には触れず、言葉を慎重に選んだが、有言実行の吉永のこと。過去の災害でも人目に触れないところで行動に移していたこともある。

 音声ガイドを担当している広島平和記念資料館のリニューアルに伴い、ガイドの再録音のために年内に広島入りすることも明かした。9月21日には長野・上田市の「無言館」(戦没画学生慰霊美術館)で詩を朗読する予定が入っている。

 女優業以外のこれらの活動を続ける原動力は何か?

 「体力は本当はないんですよ。もう体がバラバラになりそう。自分の年齢は言いたくない。でも(原爆投下され終戦した)1945年に生まれたこと、それが原動力になっているのかもしれません」。終戦から73年。いつにも増して深い思いを寄せる鎮魂の夏となりそうだ。

 ◆映画「愛と死の記録」 レコード店に勤める和江(吉永)が、原爆症の症状に苦しむ幸雄(渡)にひたむきな愛情をささげる恋愛作。他に中尾彬、浜川智子らが出演。モノクロで上映時間92分。広島市の原爆ドームや呉市の音戸大橋などで撮影された。

芸能

×