篠原涼子、恋しさとせつなさと心強さと…女優も妻も母も「全部が大切」

スポーツ報知
飾らない人柄で人を引き付ける魅力がある篠原涼子(カメラ・小泉 洋樹)

 女優の篠原涼子(45)が、映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(31日公開、大根仁監督・脚本)に主演する。韓国でヒットした映画「サニー 永遠の仲間たち」(11年)が原作。物語の舞台を日本に移し、90年代に流行した音楽、ファッションを取り入れて再構築された。女優として、妻、母として輝きを放つ篠原。自身の90年代を振り返りながら、今作に懸ける思いなどを語った。

 年齢に絡めた際どい質問にも、目を見て「いいわよ。この間、誕生日だったから」と優しくほほ笑む。飾らない人柄、ざっくばらんな受け答え。篠原には、人を引き付ける魅力がある。

 ミニスカにルーズソックス、コギャルブームに沸いた90年代(高校時代)と、現在という2つの時代が交錯する物語。「過去を振り返られる作品。この先、何かが変わるようなワクワク感を与えてくれる作品だと思う。昔の友達に会ってほしいですね」と語る。

 90年に「東京パフォーマンスドール」としてデビューし、既に自身は芸能界入りしていた時期。「忙しくて寝る間もなかったな。右も左も分からず、与えられたことをがむしゃらに、必死で駆け抜けていた」と懐かしんだ。

 演じたのは専業主婦の奈美。20年以上の時を経て、高校時代の仲良し6人組「サニー」のリーダー・芹香(板谷由夏)に再会。不自由のない家庭生活に物足りなさも感じていたが、末期がんの彼女に「サニー」の再集結を託され、生活が慌ただしくなっていく。

 篠原にとっても、「過去」に接点のある2人との作品作りになった。大根監督とはドラマ「早乙女タイフーン」(01年)以来17年ぶりだった。互いの環境、立ち場は変わったが、関係性は当時のまま。「大根さんのスタイルに染まり込むような形、大根色に染まる気持ちで挑んだ」という。

 もう1人は音楽を担当した小室哲哉氏(59)。90年代の日本の音楽シーンを席巻し、TKサウンドと称された。小室のプロデュースを受けたシングル「恋(いと)しさと せつなさと 心強さと」(94年)は、売り上げ200万枚超の大ヒットになった。「人生のターニングポイントをつくってくださり、私の夢をかなえてくれた人。感謝の塊の人」

 TBS系特番「歌のゴールデンヒット ~オリコン1位の50年間~」(17年2月放送)で20年ぶりに再会したが、撮影現場で再び顔を合わせた。「人の人生を変えるってすごい。それも良い方向に。長くはお話しできなかったけど、出会った時のまま。全然お変わりなかった。大切な人が(撮影現場に)来てくれたっていう安心感がありました」

 劇中、制服姿で安室奈美恵(40)の楽曲をノリノリで歌うシーンが登場。クスッと笑える仕上がりに「恥ずかしかったです」と照れた。「TKファミリーの曲で当時、私もTKファミリー。奈美恵ちゃんの曲も好きで歌っていたけど、『自分』になって、真剣にビブラートを利かせて歌うのは変(笑い)。あくまで奈美。どういうふうにやればいいか難しさはあった」。こだわりもある。高校時代のパートから撮影したため、事前に同じ役の広瀬すず(20)の仮編集された映像を見て研究した。注視したのはクセ。「大人になっても直らないクセってあると思う。例えば、歩き方や姿勢。遠くからのアングルでも『奈美だ!』と分かるように意識しました」

 夫の俳優・市村正親(69)と05年に結婚。長男(10)、次男(6)の母親でもある。生活のモットーは全力投球。「家族も大切だし、仕事も大切。全部が大切だから、全部に(100%の)気持ちを与えたい。力を注がないのは嫌。それができているかどうか一概に言えないけど、そこは一生懸命に努めていこうという思い」

 7月、13年ぶりの舞台で初主演作「アンナ・クリスティ」(栗山民也演出)に挑んだ。出演に際し、背中を押してくれたのが市村だった。「主人が舞台をやっている一番そばにいる人。怖かったけど、すごく支えてくれた。『これをやると、変われる』『栗ちゃんとやると勉強になる』と言ってくれた。その言葉を信じて乗り越えてみようと。やって良かったですね」

 市村は上演期間中に2回、観劇に訪れたという。「ダメ出しもされました(笑い)。メモまでしてくれて。(目の前で)やったら『その感じ。その感じでやった方がいい』って。面白かったけど、2人の演出家がいる感じだった」。愛息とのほほ笑ましいエピソードもある。「長男は見てくれたけど、キスシーンがあるから、次男は『見たくない』『嫌だ』『楽屋で待っている』って。嫉妬心に燃えて、(相手役の佐藤)隆太君には『仕事なんてしなきゃいいのに』と言っていた」

 女優として、妻、母として公私ともに充実期を迎えた。「たくさんの人が背中を押してくれて、自分自身を変えることができた。これからは背中を押される前に、自分でも決断できる人間になりたい」。好奇心旺盛に、女優業にまい進する。(ペン・加茂 伸太郎)

 ◆篠原 涼子(しのはら・りょうこ)1973年8月13日、群馬県生まれ。45歳。90年デビュー。91年フジ系「ダウンタウンのごっつええ感じ」のレギュラー。94年「恋しさと せつなさと 心強さと」でNHK紅白歌合戦初出場。2001年「ハムレット」で舞台初出演。04年日テレ系ドラマ『光とともに…~自閉症児を抱えて~」で連ドラ初主演。代表作に「anego」「アンフェア」「ハケンの品格」。映画「人魚の眠る家」(11月16日公開)に主演する。身長162センチ。血液型B。

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