里見女流名人、藤井七段に雪辱ならず

スポーツ報知
殺到した報道陣の前で感想戦に臨む里見香奈女流名人と藤井聡太七段(カメラ・北野 新太)

 将棋の第90期棋聖戦1次予選2回戦・藤井聡太七段(16)対里見香奈女流名人(26)=女流王座、女流王将、倉敷藤花=戦が24日、大阪市の関西将棋会館で行われ、後手の藤井が82手で勝利を飾った。中盤まで優位に立つ善戦を見せた里見だったが、金星には届かなかった。

 天才少年VS最強女流―。対局開始時から報道陣24社48人が殺到した一局。里見は得意の先手中飛車に構え、序中盤でリードを奪う。「先手番を生かした序盤戦にはできたかと思います」。主導権を握られた藤井は苦しそうな表情を何度も浮かべ、珍しく長考を重ねた。

 ところが、銀2枚を得る代わりに角と歩を手渡す順を軽視した里見の緩手を藤井は見逃さず、一気に形勢を逆転。終盤も里見の勝負術を全て見切って危なげなく寄せ切った。「中終盤で間違えてしまったのがちょっと悔やまれます」

 藤井とは2016年、棋士養成機関「奨励会」三段リーグで敗れて以来の再戦だった。「あっという間に駆け上がられて、なかなか対局することのできない方だと思っていましたので、すごく楽しみにしていました」。リベンジは果たせなかったが、力を尽くした充実感が表情に浮かんだ。

 公式戦初の対女流棋士戦で里見を下した藤井は「序盤で苦しめられましたし、手ごわい相手だなという印象を持ちました」。男性棋士との比較については「実際に対戦して、本当に変わらない実力を感じました」と力を認めた。年齢も性別も経験も関係ない真剣勝負を制したのは、次代を担う天才だった。(北野 新太)

 ◆里見の対男性棋士戦 未放送のテレビ棋戦を除いて通算7勝19敗。2009年には後の名人挑戦者・稲葉陽四段(当時)に勝利している。11年5月から今年3月までは奨励会員だったため男性棋戦参加資格がなかったが、3月の奨励会退会後に復帰すると、女流棋士として史上最多タイの3連勝を記録。女流棋士は男性棋戦で「直近で10勝、かつ勝率6割5分以上」の成績を残すと「棋士編入試験」の受験資格を得る。現状では今後7勝3敗ペースで勝つことが必要になる。

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