ジャニJr.“三味線王子”、28日に国立小劇場で長唄プロデビュー

ジャニーズJr.の“三味線王子”として知られる村治将之助(20)が、杵屋勝四助(きねや・かつしすけ)の新しい芸名で28日に東京・国立劇場(小劇場)で行われる演奏会で長唄の世界でプロデビューする。
2016年に国立難関、東京芸大に合格し話題を呼んだ村治。いま3年生で大学で邦楽の専門的なこと学ぶ。昨年6月には新名取として初代、杵屋勝四助の芸名も決まっていたが、28日の舞台が正式なお披露目の場となる。プロとして最初の演目に選んだのは、力強い名曲「土蜘(つちぐも)」。当日に向け、連日けいこに励む日々だ。
このほど取材に応じ「プロの仲間入りをさせていただく限り、より真剣に取り組み、さらに実力をつけたい」と貪欲だ。父で師匠の杵屋勝四郎(59)も「大学を卒業したら本当の即戦力になれるよう、恥ずかしくない芸を身に付けること。今の大変さは序の口だと思って欲しい」と厳しい言葉で期待する。ふだんは物静かな印象だが、声を発すれば、父親譲りの艶やかで伸びやかな美声が大きな魅力だ。
現在も、ジャニーズ事務所に籍を置いている。あくまで授業を優先にしながら今年4月にはKAT―TUNのライブなどに出演。仲間の活躍に刺激を受けつつ、「僕の原点はジャニーズの舞台。ここで度胸など精神面を育ててもらった」と感謝。自分を見つめ直し、初心に返ることのできる場でもあるという。
父・勝四郎は邦楽界を代表する長唄の唄方。大学に入学してから父親と同じ道を進む気持ちを固めた。幼少時から三味線とともに稽古を積んできたが、長唄の演目の意味を細かく理解するうち「本当に奥の深い世界です」とすっかり目覚めている。ゆくゆくは父の名跡の7代目を継ぐ宿命を背負った立場。そのことも理解しながら芸の道を歩もうとしている。
○…28日の国立劇場小劇場の公演は「煌光会 長唄演奏会」と題され、勝四郎の還暦記念などを目的としたもの。なお歌舞伎俳優の松本幸四郎(45)が舞踊「供奴」で特別出演。フィナーレに登場し、花を添える。
◆村治将之助(むらじ・しょうのすけ)長唄では杵屋勝四助(初代)を名のる。1997年11月18日、東京都生まれ。20歳。6代目杵屋勝四郎の長男。3歳から長唄を、9歳から三味線を習い始め、08年「滝沢演舞城」で初舞台。以後、特技の三味線だけでなく歌、ダンスもこなす。
◇長唄とは 歌舞伎舞踊の伴奏音楽として生まれたもので歌舞伎の音の表現において大きな割合を占める。演奏者は「唄方」と「三味線方」に分かれる。