山田久美女流四段「将棋界は結局のところ実力の世界です」映画「泣き虫しょったんの奇跡」感想戦
スポーツ報知

サラリーマンから転身した異色の棋士・瀬川晶司五段(48)の半生を描いた映画「泣き虫しょったんの奇跡」(主演・松田龍平、豊田利晃監督)が9月7日に公開される。将棋界の垣根を越えた注目作の封切りに向け、映画を観賞した山田久美女流四段(51)が「女流棋士の感想戦」を語った。
瀬川さんの奇跡をリアルタイム(2005年)で追ったので、映画を見て当時の記憶がよみがえりました。世代も近いですし、共感できる部分が多かったです。将棋を全く知らない方が見ても絶対に心に伝わるサクセスストーリーですね。瀬川さんは奨励会時代、よく私の対局の記録係も務めてくれたんですよ。笑顔のかわいい子だなぁと思ってました(笑い)。
映画には家族や仲間の応援によって再び夢を追う瀬川さんの姿が描かれていますが、私も同じです。ずっと「自分はタイトルを取れるような人間じゃない」と自分で自分の立ち位置を決めつけていましたけど、もう一度タイトル戦を目指して頑張ろうと思った時、家族や仲間の支えがなかったら本気で目指すことはできませんでした。
昨年、女流棋士会長に就任しました。「しょったんの奇跡」を見て分かるとおり、将棋界は結局のところ実力の世界です。弱い者の言葉は説得力を持たないので、もっともっと女流棋士として努力を続けたいと思います。(談)
◆山田 久美(やまだ・くみ)1967年、群馬県生まれ。51歳。82年、女流棋士に。89年、女流王将戦でタイトル初挑戦。2014年の倉敷藤花戦で将棋史上最長ブランクとなる25年ぶりのタイトル戦登場を果たし、ファンを沸かせた。17年、女流棋士会長に就任。