横山裕、すばるがいて今がある…もう全力でやるしかない

スポーツ報知
~vol・21~

 関ジャニ∞の横山裕(37)が出演する映画「累―かさね―」(佐藤祐市監督)が、7日に公開される。ダブル主演の土屋太鳳(23)と芳根京子(21)の熱演に魅了され「いい作品と出会えた」と反響を心待ちにする。グループとしては現在、6年連続7度目となる5大ドームツアーを開催中。22、23日には台湾・台北アリーナで初の海外単独公演を行う。今年は渋谷すばる(36)が脱退するなど、激動の1年。当たり前にいた存在がいなくなったからこその心境の変化や、来年迎えるデビュー15周年の節目に向けた思いを語った。

 俳優として数々の作品との出会いを積み重ねてきた横山にとっても「累」は特別な作品となった。

 「単純に見させていただいた時に、すごいなと思いました。今回、僕は主役じゃないですけど、心持ちは変わらない。もちろん主役だったら、それなりに抱えるものがないとダメなんだろうけど。でも、今回は純粋に、いい作品と出会えたなという思いが強い」

 天才的な演技力を持ちながら醜い容貌にコンプレックスを抱く淵累(ふち・かさね)と美貌に恵まれながら女優として花開かずにいた丹沢ニナが、キスをすると顔が入れ替わるという不思議な口紅に出会い、顔を交換するという物語で、土屋と芳根がダブル主演。横山は累とニナの2人に愛され、2人の対立を生むきっかけとなる新進気鋭の演出家役を演じた。自身、一人の出演者でありながら、一人の観客として完成した作品を心から楽しんだ。

 「やっぱり主役の2人の熱量、パワーというものを、ものすごく感じました。太鳳ちゃんはセリフも膨大で、何役も演じている。(劇中の)舞台でも主役を演じるわけだし。京子ちゃんもそう。劣等感を抱える累という難しい役どころ。漫画原作があって、すごいプレッシャーがあったと思うけど、それを超えていたと思う」

 普段は演出を受ける立場だが、劇中では演出家を演じた。メガホンを執った佐藤監督とは、10日に最終回を迎えるフジテレビ系ドラマ「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(後9時)でも仕事をともにした。

 「『累』の撮影で初めてお会いしたけど、本当にいい監督に出会えたなと。すごく丁寧に演出してくださった。自分はそこに任せて、自分ができることを精いっぱいやるだけでした」

 劇中ではキスが重要な鍵を握る。累とニナにとっては、顔を入れ替える行為。横山も、ニナの顔を持つ累とのキスシーンがある。

 「やっぱりキスシーンには監督も、こだわりがあった。累とニナのキスと、僕のキスは一つ違う形。僕とは恋愛のキスになる。その違いはやっぱり監督はこだわっていた。僕も30を超えていて、その辺の見せ方はすごく話をしましたね」

 光と影を映し出した主演2人の演技に、大いに刺激を受けた。

 「全部の仕事に共通していることだと思うけど、対、人。どう出てくるんやろとか、駆け引きみたいなのは役者としてやっていてすごく感じる楽しみ。役者としても、バラエティーであっても、いろんな人と仕事がしたいと思っている。いろんな出会いを大切にしたい。単純に、やっぱり売れている人って、すごいねんな、と思うし。そういう方と仕事をすると、やっぱりスキルが上がるというか。これからもいろんな人との出会いを感じていけたらいいなと」

 俳優として、さらなるステップアップを目指しながら、グループは来年にデビュー15周年の節目を迎える。現在開催中の5大ドームツアーは6年連続7度目。嵐に次ぐ回数を重ねている。当たり前のように積み重ねてきた今、心境の変化もある。

 「こうやって5大ドームツアーをやらせてもらってるというのは当たり前のことじゃないんやな、と。もう、できなくなる時がくるかも分かれへんし、と思うし。今はそれをかみしめながらやっている感じ。もちろん当たり前にできていると思っているわけじゃなかったけど、僕らどこかそんな感じがあった時期もあったと思う。『ああ、来年もやるんや』みたいな。ちょっとルーチン化しているのは多少なりともあったけど、最近やっぱりそうじゃないんやって、すごい思います」

 特に今年はグループに大きな変化があった。渋谷が脱退し、7月15日の札幌ドーム公演から始まった今ツアーから6人体制で再出発した。デビューから当たり前のようにいた存在がいなくなった。

 「(考えの変化は)年齢を重ねたこともあるけど、すばるが抜けたことは、すごい大きかった。それは避けて通れない。でも、あいつがいたから今の僕らがあると思っているし。いろんなことを考えた今年の上半期やったんかなと。これをマイナスに取るか、プラスに取るかは僕ら次第。これは事実なので、前に向くか向かんかは僕ら次第。その中で、みんなで前に向こうという思いでやっている。だから、もう全力でやるしかない。だから今は先のことをあまり考えていない。目の前のできることを全力で精いっぱいやらなきゃって。今、そんな思い」

 新たな決意を抱く中で、台北でグループ初の単独海外公演を行うことも決まった。

 「15年目という節目で、そういう新しいことに挑戦できるというのは、単純にうれしい。でも、まだ正直ピンと来ていないですね」

 公演を前に、全員で台湾を訪れた時には不安になることもあったという。自分たちを待ち受けていたのは、たった20人だった。

 「追っかけの人がいてくれたけど、そんなに多くはなかった。その時、ぶっちゃけ『こんなん、台湾でできんのか?』って、みんな冗談交じりで言ってたんですけど。でも、ありがたいことにソールドアウトしたって聞いて。楽しみにしてくれてる方がこんなにおるんやって、うれしさはあるけど、あんまり海外にファンの方がいるという実感は正直ない。今のツアーが終わって、リハーサルとかをやりだしたら、徐々にそういうモードに変わってくるのかな」

 台湾公演を含め、今年は節目に向けた大きな助走の1年となる。目の前のことに全力に向き合った先に見据える未来は―。

 「漠然と『楽しかった』『良かった』『15周年のときの関ジャニ∞って、すごかったな』と思われるような年になれば」(ペン・畑中 祐司)

 ◆横山 裕(よこやま・ゆう)1981年5月9日、大阪府生まれ。37歳。96年にジャニーズ事務所入り。関西ジャニーズJr.の中心メンバーとして活躍。2002年に「関ジャニ∞」を結成し、04年8月「浪花いろは節」でデビュー。ドラマ、映画、舞台などに多数出演するなど俳優としても活躍。11年から日本テレビ系「ヒルナンデス!」木曜レギュラー。血液型A。

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