ベトナム支援30年の杉良太郎、ATSUSHIらと「日越友好音楽祭」出演 

スポーツ報知
日越友好音楽祭に出演した(左から)w―inds.の千葉涼平、橘慶太、緒方龍一、ドン・ニー、伍代夏子、杉良太郎、ATSUSHI、チョン・ヒエウ、ピコ太郎

 【ハノイ(ベトナム)10日=高橋誠司】外務省の日本ベトナム特別大使を務める歌手で俳優の杉良太郎(74)が9日夜、当地の越露文化宮で日越外交関係樹立45周年事業として開催された「日越友好音楽祭」に出演した。杉の呼び掛けでEXILEのATSUSHI(38)、ベトナムのミー・リン(43)ら両国の人気歌手が出演。来年でベトナム支援を始めて30年になる杉は、両国の友好をさらに深めることを誓った。

 30年前、当時のドー・ムオイ首相と交わした「いつか平和と文化の鐘を鳴らします」という約束の歌声がハノイの夜に響いた。杉がベトナムの有名曲「涙の河」を日本語で歌うと、満員の観客約3000人から大きな拍手が起こった。現地でベトナムの曲を歌うのは30年で初めてのこと。「両国の友好を深めてさらに発展させるための歌声なんです」と客席に呼び掛けた。

 ATSUSHIは現地で購入した民族衣装のアオザイ姿で「道しるべ」をしっとりと歌い上げた。ピコ太郎は「PPAP」の日越友好バージョンで会場を沸かせた。伍代夏子(56)は杉とのデュエットを披露。w―inds.はハイレベルな歌とダンスで盛り上げた。ベトナムからは国民的歌手のミー・リンが圧倒的な歌唱力で魅了した。

 近年は高いGDP成長率を誇るベトナムだが、杉は1989年に初めて訪れた時の衝撃を忘れられないという。「最高級ホテルでシャワーからイトミミズが出てきた」「バスの床が竹でできていて穴が開いていた」。一方で、懸命に生きる人々の姿に特別な思いを抱いたという。「ベトナムの人は信義に厚い。日本がお世話になる時が必ずくる」。児童養護施設、特別支援学校への援助、消防車やバイクの寄贈といった草の根活動を全力で行い、政府要人との交流も重ねてきた。

 今回も元首のチャン・ダイ・クアン国家主席と会談し、今後の支援も約束した。それでも30年を振り返り「私に力があれば、もっとたくさんの人を助けられたのに」と唇をかんだ。

 今回の滞在では新たな仕事にも着手した。「母国で借金を抱えさせられて出稼ぎに来るベトナム人の犯罪が増えている」と杉。日本に長期滞在するベトナム人が増加するのに比例して、万引きなどの犯罪が急増していることを懸念しており「両国のイメージダウンにつながりかねない」と、日本大使館で対策を話し合うなど精力的に動いた。

 ◆孤児院を訪問「懸け橋」期待

 杉は「日本の父親」として30年間支援してきた同市内のバックラー孤児院も参加アーティストたちと訪問し、子供たちに「しっかり勉強して日本とベトナムの懸け橋になって下さい」と呼び掛けた。自身が主催する「アジア子ども国際映画祭」のベトナム大会では、同孤児院の子供たちが優勝。養子は152人に上っており、キャリアを積んでベトナム共産党の要職に就いた女性との再会も果たした。

 ◆自然災害危機感愛媛県を訪問へ

 杉は日本国内にも目を向け、北海道の地震や関西の台風被害など災害が相次ぎ「日本が沈没するんじゃないか」との危機感を抱いている。帰国後にはまず、伍代の曲「肱川(ひじかわ)あらし」の舞台で、7月の西日本豪雨で被害を受けた愛媛県大洲市を訪問する予定だ。

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