尾上菊之助「下町ロケット」で民放連ドラ初レギュラー…佃製作所と付き合いある敏腕社長役

スポーツ報知
「下町ロケット」新シリーズで珍しい作業着姿も披露する尾上菊之助

 歌舞伎俳優の尾上菊之助(41)が、10月期のTBS系日曜劇場「下町ロケット」新シリーズ(日曜・後9時)で民放の連ドラに初レギュラー出演することが12日、分かった。

 池井戸潤氏のベストセラー小説を原作に、阿部寛(54)演じる主人公・佃航平率いる町工場「佃製作所」が困難を乗り越える様を描き、2015年10月期にヒットした連ドラの新シリーズ。菊之助は、佃の取引先の大企業「帝国重工」を辞めて独立し、創業5年で年商100億円に急成長させる会社「ギアゴースト」の敏腕社長・伊丹大を演じる。

 佃製作所と深く関わりを持ち、阿部とも共演シーンの多い重要な役どころだ。出演に「視聴者として元気を頂戴したドラマの続編への参加。すごくうれしく、光栄。全身全霊で役を務めたい」

 この日は朝4時起きで収録現場に向かい、撮影が終われば、出演中の歌舞伎座へ楽屋入りする忙しさ。菊之助と言えば、色の白い美しい女形をイメージする人も多いだろうが、今回の役のために日焼けし、眼鏡に作業着姿という珍しい格好も見せる。いろんな意味で新境地の開拓となりそうだ。

 ドラマのカギを握る重要人物で、第1話から登場。共演の阿部を「存在感が大きく、熱いものがあふれている方。役そのものじゃないかと思うほど」とたたえるが、菊之助もダテに役者経験を積んできてはいない。話が展開する中で、阿部と対等に“張り合う”場面も出てくるだけに注目だ。この「ギアゴースト」をイモトアヤコ(32)演じる天才技術者と一緒に立ち上げた設定だ。

 「日曜劇場」の池井戸潤作品からは片岡愛之助(46)、市川中車(52)ら歌舞伎俳優が強烈な役でインパクトを与えている。その点でも関心を集めることになるが、「あまり意識せずに臨みたい」と気負いはない。今作の伊與田英徳プロデューサーは「歌舞伎の舞台を何度か拝見し、様々なキャラクターを演じ切る姿に魅せられた」と起用理由を説明。「伊丹大はバックグランドでも個性の強い役柄。期待して欲しい」と菊之助に全幅の信頼を寄せる。陰影のある役になりそうで、出番はかなり多いという。

 30代は脇目も振らず、ほとんど舞台一筋だった。歌舞伎で受け継ぐべき大役をいくつもこなす中で多少の自信も付き、心境に変化が生まれた。「40歳に入り、映像と舞台の切り替えもできると思えるようになってきた」満を持しての連ドラレギュラーとなる。

 「収録は新鮮で楽しい。現場全体が佃製作所のようにも思え、いい作品をつくるためにみんなが熱い思いで同じ方向を向いている。この中で自分の演技も磨いていきたい」と話し、充実の表情を見せた。

 ◆尾上 菊之助(おのえ・きくのすけ)1977年8月1日、東京都生まれ。41歳。84年に6代目・尾上丑之助を名乗り初舞台。96年「白浪五人男」などで5代目・尾上菊之助を襲名。今年はNHK大河ドラマ「西郷どん」にも出演。現在、歌舞伎座「秀山祭」で「俊寛」出演中。13年中村吉右衛門の四女・瓔子(ようこ)さんと結婚。1男2女がいる。父は人間国宝・尾上菊五郎、母は富司純子、姉は寺島しのぶ。屋号は音羽屋。

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