ZOZO前澤氏、月へ行く アポロ計画以来2023年1000億契約

スポーツ報知

 米宇宙ベンチャー「スペースX」は17日(日本時間18日)、開発中の大型ロケット「ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)」で月の周囲を飛行する月旅行を、実業家の前澤友作氏(42)と初めて契約したと発表した。前澤氏はインターネット通販「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイ社長。飛行は2023年を予定しており、実現すれば、米国人以外が月へ行くのは初となる見通し。前澤氏は芸術家6~8人を招待する意向。費用の総額は1000億円を超えるとみられる。

 「とうとう、月に行けます。この場所にいられてうれしいし、とても興奮しています」。スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会見した前澤氏は約10分間、英語で学生時代の趣味や現在の事業などについて紹介。月への夢を語り、世界から芸術家6~8人を無料招待すると明らかにした。

 対象は画家、彫刻家、写真家、映画監督、建築家、ファッションデザイナーら。特設サイトを開設しており、地球帰還後に作品を制作することを条件とした。プロジェクト名は「リアル・ムーン」。前澤氏は「私は子供の頃から月が大好きだった。月を見つめていると、想像力をかき立てられた」と語った。

6日間の計画 計画では、地球を出発後、月の周囲を回って地球に戻る。月面には降りない。BFRは全長118メートルで、上段55メートルの宇宙船部分が切り離され、3日目に月付近に到着する。月の近くを通り過ぎながら、月越しに日の出ならぬ「地球の出」を見て、6日目に帰還する。5日と23時間の旅となる。一般に宇宙旅行をする際は、船内の急激な重力変化に順応するための訓練や健康診断が必要となる。

 前澤氏は費用については「答えられない」と話したが、別の米宇宙旅行会社は、月まで「1人、1億ドル(約112億円)」としている。同行者が「6~8人」とすれば総費用は1000億円を超える可能性がある。前澤氏は資産家で、時価総額が約1兆円のスタートトゥデイの発行済み株式の4割近くを保有。今年の同誌の日本長者番付では資産2830億円で18位に入っている。スタートトゥデイは国際展開も進めており、月旅行に名乗りを上げた背景には本格的な世界進出を前に知名度を高める狙いもありそうだ。

 BFRは24年の火星有人飛行を目指して開発中の次世代ロケット。都市間の高速移動に利用することも狙う。米航空宇宙局(NASA)から請け負った、宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに運ぶ業務を来年にも始める。また、独自に月や火星への飛行計画に向けて開発している。マスク氏によると、BFRの開発費用は50億ドル(約5600億円)前後としている。

 月は地球から約38万キロ。地球から国際宇宙ステーション(約400キロ)の950倍の距離がある。月面や月を巡る軌道にはNASAがアポロ計画で米国人宇宙飛行士を送ったが、72年を最後に人類は月に行っていない。

 ◆前澤氏がホームページに掲載したコメント(一部抜粋)

 パブロ・ピカソが月を間近に見ていたら、どんな絵を描いたんだろう。

 ジョン・レノンが地球を丸く見ていたら、どんな曲を書いたんだろう。

 彼らが宇宙に行っていたら、今の世界はどうなっていたんだろう。

 私たちには、想像力と創造力があります。

 まだ一度も見たことのないような夢を見ることができるかもしれない。

 歌ったことのないような歌が歌えるかもしれない。 描いたことのないような絵が描けるかもしれない。 このプロジェクトが皆さまの夢を拡げるきっかけになることを願っています。 地球を代表するアーティストと共に、皆さまより少しだけお先に月に行ってきます。

 ◆アポロ計画 NASAによる人類初の月への有人宇宙飛行計画。1961年から1972年にかけて実施され、全6回の有人月面着陸に成功した。最終の成功となったアポロ17号は72年12月7日に発射され、11日に着陸。14日に帰還した。宇宙滞在期間、月面活動期間などの最長記録を作った。

 ◆前澤 友作(まえざわ・ゆうさく)1975年11月22日、千葉・鎌ケ谷市生まれ。42歳。早実卒業後、渡米し、音楽や文化などを学ぶ。帰国後、CD輸入販売などを手がけ、98年5月、株式会社スタートトゥデイ創立。04年にファッションブランドを統合した通販サイト「ZOZOTOWN」開始。07年12月に東証マザーズ、12年2月に東証1部上場。今年10月には社名をZOZOに変更予定。

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