尾上右近、役者と清元の二刀流「こんなに早く機会をいただけるとは」

歌舞伎の若手注目NO1、尾上右近(26)が東京・歌舞伎座11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」(2~26日)で、役者と清元を1か月間“兼務”することが2日、分かった。歌舞伎史でも大変珍しい二刀流での本格始動となる。
人気上昇中の右近の勢いが止まらない。2月に清元栄寿太夫(えいじゅだゆう)の7代目を歌舞伎座で襲名。6歳から稽古を積んできた歌舞伎の語り手(太夫)としても清元の正式デビューを飾っている。本人が「まさかこんなに早く機会をいただけるとは」と驚く11月公演は、昼の部「十六夜清心(いざよいせいしん)」で清元として登場。尾上菊五郎(76)、中村吉右衛門(74)の両人間国宝が出演する演目で本格スタートを切る。
師の菊五郎の理解と激励に感謝する。「両方できるお許しをいただき、本当にありがたい。自分の中ではずっと続けてきたので違和感はなく、役がひとつ増える気持ち。限界を超える挑戦を恐れず続けたい」。異例のチャレンジに揺るぎない覚悟で臨む。
右近といえば、昨年、スーパー歌舞伎2「ワンピース」を負傷降板した市川猿之助(42)の代役でルフィ役に抜てき。甘いマスクと人なつっこい性格も手伝い、一気に知名度も全国区になった。
来月はほとんど出ずっぱりで、昼の部「お江戸みやげ」、夜の部「法界坊」には俳優として出演する。菊五郎の「注目されるのはいいことだ」という勧めもあり、チラシやポスターには「尾上右近」「清元栄寿太夫」の2つの芸名が刷られる方向で準備が進んでいる。“歌舞伎界の大谷翔平”も負けてはいない。
◆清元 江戸浄瑠璃清元節の略。歌舞伎、歌舞伎舞踊の伴奏音楽として用いられることが多く、主に男性の高音で繊細な節回しと三味線などの演奏でさまざまな感情を表現。他の歌舞伎の伴奏に長唄、義太夫、常磐津がある。
◆尾上 右近(おのえ・うこん)1992年5月28日、東京都生まれ。26歳。7代目・清元延寿太夫の次男。曽祖父は6代目・尾上菊五郎。母方の祖父は鶴田浩二。00年歌舞伎座「舞鶴雪月花」の松虫で本名・岡村研佑を名乗り初舞台。05年新橋演舞場「人情噺文七元結」で2代目・尾上右近を襲名。自主公演「研の會」も人気。屋号は音羽屋。11月は父、兄の初代・清元斎寿とも共演する。