行定監督、津川雅彦さん最後の主演作での思い出語る「まさに死と生の狭間を体現する姿」

スポーツ報知
津川雅彦さんの思い出を語った行定勲監督

 映画監督の行定勲氏(50)が3日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われた第31回東京国際映画祭の短編企画「アジア三面鏡2018:Journey」の会見に出席し、8月に亡くなった俳優の津川雅彦さん(享年78)の思い出を語った。

 一昨年の同企画で上映された津川さん最後の主演映画「鳩 Pigeon」(12日から一般公開)のメガホンを執った行定監督は「津川さんが逝去されたのはショックで…あの暑いペナン島での撮影を思い出さずにはいられません」と在りし日の名優に思いを馳せた。

 マレーシア・ペナン島に住み、鳩と共に生きる孤独な老人を描いた作品。自らの祖父をイメージして出演オファーしたのが津川さんだった。「風貌が似ていて生き写しみたいでいいなあ、と思ってオファーしました。でも、津川さんは海外での撮影が大っ嫌いなので、たぶんダメだと思っていました」。ところが、返事はまさかのOK。「津川さんは仰ったんです。『死と生の狭間に存在するような役なんだね』って」

 実際の撮影で、津川さんはキャスティング時より7、8キロ痩せた状態で臨んだ。「まさに死と生の狭間を体現する姿で、鬼気迫る緊張感はマレーシアの女優たちに恐怖を抱かせるくらいすごいものでした。彼にとってのラストシーンになった海辺での撮影で、津川さんは『結局、死と生の狭間では人は何も出来ないものだなあ』って仰ったんです。津川さんという人間そのものの役でした。一緒に仕事が出来たことは自分だけでなく、キャストやスタッフにとっても宝になりました」と感謝していた。

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