女流アマ名人戦 中学3年の野原未蘭さんが連覇

スポーツ報知
連覇した野原未蘭さんにトロフィーを渡す日本将棋連盟会長・佐藤康光九段

 将棋の女流アマチュア日本一を決める「第50期女流アマ名人戦」(主催=日本将棋連盟、後援=報知新聞社、協賛=(株)ファンケル、オイシックス・ラ・大地(株)、昭和西川(株)、天童市、箱根ホテル花月園、(株)マイナビ出版)が8日、東京都墨田区のKFCホールで行われ、富山市立岩瀬中学3年の野原未蘭(みらん)さん(15)が連覇を達成した。

 優勝候補の筆頭が50回の節目を飾った。昨年大会を制し、今年7月には女子として初の中学生名人になった野原さんが大本命の貫禄を見せた。「連覇を目標に今まで練習してきたので、ホッとしています」。日本将棋連盟会長の佐藤康光九段(49)から直々にトロフィーを受け取ると、安心したような笑顔を見せた。

 強豪ばかりが名を連ねた決勝トーナメント。準決勝で2012年、13年に連覇した小野ゆかりさん(東京都杉並区=26)に完勝すると、決勝では小澤あざ美さん(横浜市=22)に競り勝って史上8人目のV2を達成した。「対戦相手は全員知っていましたし、みんな強いので…。去年はチャレンジャーでしたけど、今年は相手に思いっ切りぶつかって来られたこともあって、なかなか自分らしい将棋を指せませんでした」。反省を口にしながらも「いつもだったら負けるんじゃないかと考えちゃうような時でも、今回は負けるかなと思ったことはなかったです。自信が付いてきたのかもしれません」と手応えも感じている。

 元奨励会三段で伝説のアマチュアとして知られる師匠・鈴木英春さん(68)直伝の序盤戦術「英春流」で、今大会も相手を幻惑した。「相手が対策を立てても序盤で優位に立てた。英春流はすごいなと思いました」。終了後は、戦いを見守った鈴木さんの元へと向かい、固い握手を交わした。

 1979年優勝の林葉直子さん(50)、83年優勝の清水市代女流六段(49)、2005~06年連覇の香川愛生女流三段(25)ら、後にタイトルを獲得する女流棋士を輩出した女流アマ名人。「自分の中ではとても大きな大会なので、歴代優勝者に2回も名前が載るのはうれしいことです」。来年は史上初の3連覇を目指すことになる。

 大会直前の3日、大きな刺激を受けた出来事があった。同じアマチュアの高校2年生・礒谷真帆さんが第12期マイナビ女子オープンの本戦1回戦で、3度のタイトル挑戦歴を誇る中村真梨花女流三段を撃破。女流棋士の正資格である女流2級への申請資格を得る本戦ベスト8以上への進出を決めた。「先を越されて悔しいというより、素直にすごいなと思いました。プロの先生を相手に間違えずにあそこまで完璧に指していたので。真帆ちゃんの活躍は刺激になりましたし、連覇したい気持ちは強くなりました」

 今後は礒谷さん同様、規定の女流棋戦でベスト8以上に進出し、女流棋士申請資格の取得を目指す。「ただベスト8に残るのではなく、自分は女流のタイトルを取れるんだ、と思って申請したいです」。力強く言い切った。

〔第50期女流アマ名人戦・決勝戦棋譜・持ち時間各15分間〕

▲…小澤あざ美

△…野原未蘭

▲5六歩 △6二銀

▲5八飛 △1四歩

▲1六歩 △4二玉

▲7六歩 △7四歩

▲6八銀 △3二玉

▲4八玉 △7三銀

▲5七銀 △6四銀

▲6六銀 △4二銀

▲3八玉 △5二金

▲2八玉 △8四歩

▲5五歩 △8五歩

▲7七角 △7三桂

▲3八銀 △3四歩

▲4六歩 △9四歩

▲5九角 △3三銀

▲4七銀 △4四銀

▲5六銀 △8一飛

▲3八金 △3五銀

▲6八角 △2四銀

▲4五銀 △3三銀

▲5九金 △4四歩

▲5六銀 △4三金

▲4八金 △2四銀

▲5九角 △3一角

▲4七金 △1五歩

▲同 歩 △同 香

▲同 香 △同 銀

▲3六歩 △2四銀

▲7五歩 △8四飛

▲7八飛 △7五歩

▲4五歩 △同 歩

▲同 銀 △4四歩打

▲5六銀 △7六香打

▲9八飛 △7九香成

▲2六角 △2五銀

▲4八角 △5四歩

▲3七桂 △1四銀

▲7七桂 △8六歩

▲同 歩 △同 飛

▲6五桂 △8九飛成

▲7三桂成△同 銀

▲1九香打△1七歩打

▲1六歩打△7八成香

▲1七香 △8八成香

▲同 飛 △同 竜

▲1五歩 △9九竜

▲3九香打△1六歩打

▲同 香 △2四桂打

▲1四歩 △1六桂

▲1八玉 △1七歩打

▲同 玉 △1五香打

▲2五桂 △1九飛打

▲1八桂打△2八桂成

▲同 玉 △1八飛成

▲3七玉 △3三桂打

▲同桂成 △同 桂

▲5四歩 △4五香打

▲5七角 △4九竜

まで

116手で野原さんの勝ち

将棋・囲碁

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