賭け事嫌い、当たり役も「嫌で嫌で」…江波杏子さん評伝

スポーツ報知
江波杏子さん

 映画「女賭博師」シリーズなどで知られる女優・江波杏子(えなみ・きょうこ、本名・野平香純=のひら・かすみ)さんが10月27日午後9時6分、肺気腫の急性増悪のため都内の病院で死去した。76歳。2日、所属事務所が発表した。葬儀・告別式は近親者で執り行った。亡くなる5日前まで仕事をしていたが、突然の訃報となった。

 江波さんの生涯の当たり役となった「昇り竜のお銀」。後に「嫌で嫌でしょうがなかった」と語っている。「入ります!」の声とともにサイコロを振る「壺ふり」のシーンはもちろん、賭け事自体が好きではなかった。

 14歳の時、仏映画「わが青春のマリアンヌ」を見て女優に憧れた。女性らしい可憐(かれん)な世界の中を生きていこうと決めていたが、20代で「女賭博師」シリーズという代表作を持つようになり、街では「姐(ねえ)さん」と声を掛けられるようになった。少し誇りに思えるようになったのは、40代で麻雀を覚えてからだった。

 生涯独身。一途(いちず)な性格で「恋愛経験は2度だけ」と赤裸々に語り、孤独感を抱く夜もあるとインタビューで何度も明かした。

 大の酒豪。若い頃は仲間たちと無茶な飲み方で騒ぐのが大好きだったが、晩年は寝酒をたしなむ静かな時間を何よりも愛した。

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