最難「阿古屋」役に24歳・中村児太郎抜てき 「表現学び女形を突き詰めていきたい」

スポーツ報知
中村児太郎

 歌舞伎俳優の坂東玉三郎(68)が、東京・歌舞伎座12月公演(2~26日)の夜の部「壇浦兜軍記 阿古屋(だんのうらかぶとぐんき あこや)」で3年ぶりに女形屈指の大役、阿古屋を演じる。6代目中村歌右衛門から受け継ぎ、1997年に演じて以降、玉三郎しか演じておらず、最も難しいとされる役。今回、異例の試みとして成長著しい中村梅枝(30)、中村児太郎(24)の若手女形2人を抜てき。そこには玉三郎が使命と考える「芸の継承」の哲学が込められている。

 この数年、病気療養で父・中村福助(58)が休んでいた間も新しい役と向き合い、女形の階段を上り続けている児太郎。24歳での挑戦だ。「父も祖父(7代目中村芝翫)もやってない役ですが、やってみたいと思ってきた憧れの役。できると聞かされた時は素直にうれしかったです」

 舞台上での女形は、ふだん話す時の男らしさとはまったく別人のよう。その大きなギャップも魅力だ。「簡単にできるところはひとつもない。全てが難しく、悩むことも多い。でもこの役を通してありとあらゆる表現を学びたい」と覚悟を持って臨んでいる。

 梅枝と児太郎が出る日は、玉三郎は岩永左衛門で出演。一緒に出ているという安心感は不安緩和にもつながるだろう。「その点もありがたく感謝しています。(玉三郎の)『やらないと何も始まらない』の言葉を信じて女形を突き詰めていきたい」と話す。

 ◆中村 児太郎(なかむら・こたろう)93年12月23日、東京都生まれ。9代目中村福助の長男。祖父は7代目中村芝翫。99年中村優太の本名で初お目見え。2000年6代目中村児太郎を襲名し初舞台。今月は浅草の平成中村座出演中。巨人ファンで中・高とラグビー部。屋号は成駒屋。

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