吉永小百合、「8・6」知らぬ子ども増え衝撃…原爆資料館の音声ガイドを録音

スポーツ報知
音声ガイドを録音した吉永小百合

 原爆詩の朗読をライフワークにする女優・吉永小百合(73)が14日、広島市内のスタジオで広島平和記念資料館(通称・原爆資料館)の音声ガイドの録音を行った。韓国グループ「BTS(防弾少年団)」のメンバーが原爆のキノコ雲がデザインされたTシャツを着て問題になっていることに、独自の考えを述べた。

 「被爆の悲惨さを知らないことの怖さ。それがとてもつらい。知らないから今回のようなことも起きてしまう」。核兵器の廃絶を訴える吉永の言葉は、BTSだけでなく、日本を担う次世代にも向けられていた。

 なぜなら、東京の渋谷を歩く中学生たちが「8月6日は何の日か」と聞かれた際、広島に原爆が投下された日ではなく、「地震?」と答えているのをテレビで見て、ショックを受けたという。国も事象も異なるが、重なっているように思えてならなかった。「日本は被爆国。さらにもっと声を出さないといけない。でも本当に今のこの状態がどうすれば変わるのか」と悩む。

 吉永がボランティアで資料館の音声ガイドを行うのは2002年以来、16年ぶり。リニューアル中の本館の来春オープンを前に、これまで展示されていた遺品の音声ガイドの再録と、新たに加わる被爆した壁掛け時計のガイドなど、計26項目を録音した。

 原爆詩の朗読より「こちらの方がずっとエネルギーがいります」。遺品が宿す1945年から73年間という年月の、叫びにも似た力に気おされそうになるからだという。前日は準備のため同館東館を見学。「食べ物がノドを通らなくなるほど真剣に見入っていた」(関係者)という。

 「遺品は学芸員さんの手でひとつひとつ丁寧に保管されていた。それを見てさらに、ガイドは大変な仕事、しっかり伝えなきゃ、と思った」。これから何世代先にも届くことを願い、全身全霊を込めて臨んだ3時間の収録だった。

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