【報知映画賞】「孤狼の血」の白石和彌監督、作品賞邦画受賞に「率直にビックリ」

スポーツ報知
予想していなかったという5年ぶりの受賞に笑顔の白石和彌監督

 今年の映画賞レースの幕開けとなる「第43回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。

 2013年、本格長編デビュー作「凶悪」で監督賞に選ばれて以来、2度目の受賞となる白石和彌監督(43)は「『万引き家族』と『カメラを止めるな!』が今年の顔になると思っていたので、率直にビックリ」。まんざらでもない笑顔を浮かべた。

 描かれたのは、昭和最後の年に起きた警察対ヤクザの抗争。昭和の傑作「仁義なき戦い」をほうふつとさせる本格作品だが、オファーを受けるか迷った。「深作欣二監督には絶対勝てない。それでも『孤狼』の人たちと今の人は生きづらさの質が違うことを世の中に問いかけたかった」。初タッグの役所が演じる大上刑事のキャラクターが描ききれていないと危惧していたが、観客が「役所さん良かった」という声を耳にし、「やっぱみんな役者を見ている」と手応えを感じたという。

 次回作は「麻雀放浪記2020」。「孤狼」同様、昭和の傑作「麻雀放浪記」(84年)を現代によみがえらせる。「昭和と今の映画をつなぐことが僕の役目なのかなと。いい部分を残して今にリニューアルするのも一つの映画」。平成が終わろうとする今、白石監督が担う役割は大きい。(水野 佑紀)

 ◆白石 和彌(しらいし・かずや)1974年12月17日、北海道生まれ。43歳。95年に中村幻児監督が主宰する映像塾に参加後、若松孝二監督に師事。2010年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」を発表し、16年、日活ロマンポルノ・リブート企画「牝猫たち」に参加。17年「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞監督賞を受賞した。

 ◆「孤狼の血」 舞台は昭和63(1988)年、広島県呉原市。国立大卒の新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)は県警呉原東署の暴力犯捜査係に配属される。直属の上司になったのが暴力団との癒着もウワサされる破天荒な敏腕刑事・大上(おおがみ)章吾(役所広司)だった。

 ▽作品賞 「人魚の眠る家」、「万引き家族」を推す声も多かったが、1回目の投票で「孤狼の血」が過半数。「東映の深作欣二監督の作品をスタイリッシュにした、かっこよさを感じた」(齋藤)、「迫力があり、見終わった後に面白かったとかみ締めた」(藤田)

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