【報知映画賞】二宮和也「驚き」助演男優賞 ジャニーズ2人目の受賞

スポーツ報知
受賞者に贈られるブロンズ像

 今年の映画賞レースの幕開けとなる「第43回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。助演男優賞は「検察側の罪人」(原田眞人監督)で事務所先輩の木村拓哉(46)と対峙(たいじ)する検事役に挑んだ二宮和也(35)が初受賞した。

 どこか現実味がないように、二宮は自身の名前が入った受賞者のリストを見つめた。43年の報知映画賞の歴史でジャニーズ勢の受賞は2人目。14年に「永遠の0」で主演男優賞を受賞したV6・岡田准一(38)以来だ。「驚きましたね。リアルなところ、読者投票を含めて、ノミネートに押し上げてもらった感じがあった。それだけで、ある種の満足感があって、受賞までは見えていなかった」と喜びをかみ締めた。

 演じたのは、新人検事・沖野啓一郎。最大の見せ場となった取り調べのシーンでは、23年前の殺人を恍惚(こうこつ)の表情で打ち明けた被疑者・松倉(酒向芳)を激しく罵倒。迫真の演技は、多くの観客に恐怖心を植え付けた。

 「そのへんで首つってくれる?」―。松倉に向けた強烈な一言は、自らアドリブで加えたセリフだ。「次の日が、ほとんどしゃべらないシーンが組まれていた。ってことは、今日は喉を使い切っていいんだろうな、と」。ギア全開で、松倉に迫った。「『怖かった』『嫌だった』とか言われて、ああ、ちゃんと刺さったんだな、と。でも、例えば乱闘シーンでも、殴られる人間が殴る人の力量を決める。吹っ飛ぶのか、吹っ飛ばないのか。相手方ありき。だからこそ、本当に酒向さんのお陰。あの人なしでは語れない」と感謝の念は強い。

 今作では願ってもなかった“夢”が実現した。大先輩・木村拓哉との初共演だ。「(来年5月から新元号になると)ニュースで聞いたとき、もう平成が終わるんだって、すごく感じた。そのときに、やっぱり平成のうちに平成の大スターと、共演をしたいと思った。大スターって誰だろうってなったら…」。事務所に直訴した同じタイミングで実際に共演することを聞かされた。

 現場では木村のオーラに圧倒されながら、一挙手一投足を見逃すまいと貴重な日々を楽しんだ。「何よりも主演あっての助演。その助演で、こうやって選んでもらえた。ちょっとは主演さんの助けにはなった、作品の一助にはなれたのかな。こういうものを頂けると、また、この作品を触ってもらえる機会にもなる。また見てみようと思う人がいると思うと。ちゃんと次も映画に出て頑張ってやらなきゃなって、すごく思います」。助演男優賞は、憧れのスターと一つの作品を作り上げ、しっかりと支えた確かな証しだ。(畑中 祐司)

 ◆二宮 和也(にのみや・かずなり)1983年6月17日、東京都生まれ。35歳。96年にジャニーズ事務所入所。99年に嵐としてシングル「A・RA・SHI」でデビュー。2006年にTBS系「少しは、恩返しができたかな」で橋田賞受賞。同年「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)でハリウッド映画初出演。「母と暮せば」(15年)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など受賞。

 ◆「検察側の罪人」 都内で発生した強盗殺人の被疑者の1人に、過去の未解決事件の重要参考人が挙がり、エリート検事・最上(木村)が執拗(しつよう)に追いつめる。最上を師と仰ぐ沖野(二宮)は取り調べを担当する中で次第に最上の捜査方針に疑問を抱き、互いの正義を懸けて2人が対立していく。

 ▽助演男優賞 成田、松坂、新井、太賀らの名前が挙がる大混戦の末、二宮が過半数。「台詞(せりふ)、表情、所作、存在感。その全てが胸に深く刻まれる」(見城)、「主演の木村拓哉さんを陰で支えつつ、未熟さを体現していた」(荒木)

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